「結納はされましたか?」という質問に対する回答者の割合(株式会社KG情報提供)
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 晩婚化・未婚化が進んでいるとはいえ、毎年数多く執り行われている結婚式。日本の結婚式には様々なしきたりがあり、儀式的な行事が数多く執り行われてきたが、最近の傾向はどうなのだろうか? 「式は地味でいい」「指輪を買うくらいなら今後の生活の足しにしたい」、そんなドライな意見も時折耳にするが、実際にそういう人たちが増えているのだろうか?

 情報サービス企業である株式会社KG情報が、東京(渋谷・池袋・吉祥寺)と横浜で結婚式を挙げようとしているカップル計105組に対して「結婚に対する意識調査」を実施、調査結果を公表した。

 日本には、昔から「大安」「友引」「先勝」「先負」「赤口」「仏滅」など、吉凶を表す「日柄」というものがあり、かつては「婚礼といえば大安!」と、結婚式では「日柄」が非常に重要視されていた。だが今回の調査で「日柄の希望」について質問したところ、「こだわりなし」と「仏滅以外」がそれぞれ35.2%で並び、全体の中で最も多い結果となった。一方、「大安」のみを希望するカップルは6.7%にとどまった。最近では、仕事の都合や予算、ゲストの出席しやすい日などを優先する合理的なカップルが増えていると同社は分析している。

 次に、婚約の際に品物などを取り交わす「結納」について。「結納」とは、婚姻により両家が親類(親族)となり「結」びつくことを祝い、贈り物を「納」め合う儀式にことをいう。しかし、現在では「結婚」=家同士の結びつきという意識が低下しているという印象があり、「結納」を行わないカップルが多いのではないだろうかと予測したが、調査の結果、およそ4人に1人に当たる26.7%がすでに「結納」を行ったと回答、親同士の「顔合わせ」についても、56.2%が行ったと回答した。ただし、親同士の顔合わせは形式的な「結納」ではなく、食事会など済ませるケースも多くあるようだ。

 また、婚約の際に男性が女性に贈る指輪(エンゲージリング)は、71.4%がすでに購入したと回答。「まだ購入してない」の17.1%と合わせると9割近くが購入すると答えており、「生活費の足し」にする人は少数派のようだ。

 今回の調査は、東京や横浜などドライな考えを持っている人が多そうなイメージの都心部で行われたにもかかわらず、「結納」をきちんと行っているカップルが3割近くもいるなど、予想外の結果となった。だが、日柄に関しては大安を重視しないカップルも増えていて、必ずしも伝統やしきたりを大切にしているとは言い切れない。

 時代が変わり、結婚のカタチも自由になってきているのは事実だが、人生の一大イベントである結婚に関しては、伝統としきたりを大切にすることが、その結婚をより厳粛で喜ばしい行事としているのかもしれない。

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