AERA 2023年3月20日号より
AERA 2023年3月20日号より

 インスタに写真をアップした女性は、職場で面と向かってこう言われ、この同僚とは口がきけない状態になってしまった。アカウントを閉じようかと悩んでいる、とエレベーターで相談された女性はこう振り返る。

「この後輩女性は承認欲求へのこだわりから写真をアップしたわけではないと思います。でも、職場で嫌味を言った人の側からすれば、彼女は承認欲求の塊のように映ったはずです。私も相談を受けた後輩に面と向かって、『そんな写真をアップするからだよ』とは言えないし、彼女も悪意があってやったことではないでしょうから、その場では『気にしなくていいよ』となぐさめました」

 承認欲求がもともと強くなかった人も、他人に見せなくてもいい日常生活を不特定多数の人に気軽に発信できるツールが身近にあることで、「承認欲求モンスター」のように見られてしまうこともある、というわけだ。

■「かまってちゃん」

 女性の職場ではほかにも、有給休暇を取得して出かけた旅先での写真をインスタにアップしたところ、当日出勤していた同僚から「忙しくてこっちは休めないのに休暇を楽しんでよかったね」と言われたとモヤモヤを抱える部下や、「大好きなインテリアに囲まれて暮らしています」と部屋の写真を投稿すると、「リア充してるわね」というメッセージが近しい同僚から送られてきて気に病む部下もいるという。

 一方で、「なんであんなにみんなすぐにアップしたがるんでしょうね」とインスタ好きの同僚をディスる部下もいる。立場上、「みんなそういう気持ちになるんじゃないの」とかわし、職場に波風が立つのを防いでいるというこの女性も、こう本音を吐露する。

「自分のライフスタイルやファッションセンスを良く見せようと躍起になって作り込んでいる人には『見て見て』意識や、『かまってちゃん』意識が強いと感じます。逆に彼女たちはすごいって思う時もあります。自分にはできませんから。見せるものも特にないし……」

(編集部・渡辺豪)

AERA 2023年3月20日号

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