■向き合い続けて芽生えた「覚悟と責任」
――自分と向き合う時間は唐田さんにとって、どんな影響がありましたか。
ちゃんと責任と覚悟を持ってやっていかなきゃという思いが自分のなかで明確になった気がします。
――役者としての向き合い方ということですか。
それもそうですし、この芸能界という世界にいる役割といいますか。事務所の方に対して、役として、作品として、自分としてという感じです。
――責任と覚悟を持って挑んだ本作では、役をどう解釈しましたか。
加奈という女の子がちゃんと変わっていく姿をみせていきたいと思いました。最初は弱い女の子だった加奈が、いろいろな経験を通して強くなっていく。そうしたシーンでちゃんと感情が出るようにしたいなと思って演じました。
――登場人物の一人ひとりが、生きることにとても不器用ですよね。
私もすごく不器用ですし、器用な人っているのかなぁって今考えちゃいました。器用にできたらすごくいいんだろうし、きっとみんな完璧を求めてやっていくだろうし、私もやっていきたいです。そこを求めて、諦めないでやっていくことが大事なのかなって。それに、不器用でも、それが人間らしくていいんじゃないかなとも思います。
――ご自身のどんなところが不器用だと思いますか?
一つのことには集中できるんですけど、二つのことは同時にできないみたいな(笑)。けっこう苦手ですね。
――役者という仕事柄、複数の作品を並行したりもしますよね。
切り替えはすごくへたなほうだと思います。作品を撮っているときに、前にやった作品のアフレコとかがあったりすると、「今の役を引きずっているかも」と言われることもあります。自分的にも、「そうなっちゃうかもしれない」って怖くなって、なるべく前の作品を思い出す作業をするようにしています。
――「死体の人」では、理想と現実の折り合いがなかなかつかない様子も描かれていて、共感できる部分も多いです。唐田さんは理想と現実のギャップにぶつかったときはどうしていますか。
仕事面では、事務所の人と話し合いをたくさんして、方向性を一緒に探っていただいたり、決めていったりするなかで、そのギャップをすり合わせている気がします。
自分のことを自分だけで考えていると、理想だけが大きくなっていったり、現実がどうなのかっていうのがわからなくなったりする瞬間があったりするんです。でも、寄り添ってくださる方が違う目線で、でも一緒になって考えてくださるというのがすごく大きくて。そのうえで、「自分はこうじゃないな」「自分ならこうできるな」というのを模索して、自分のなかで解決していく感じがします。