2017年3月8日~6月5日まで国立新美術館にて開催される【ミュシャ展】。この展示をより深く楽しむためのCD『スラヴ賛歌~ミュシャとチェコ音楽の世界』と『スメタナ「わが祖国‐『ミュシャ展』開催記念-』が2作同時リリースされた。
フランス、アール・ヌーヴォーの代表的な画家として知られる彼の代表作はもちろんだが、この展示で一番の注目を集めているのは、ミュシャが50歳のときに故郷のチェコに戻り、晩年の約16年を懸けて制作した一大プロジェクト『スラヴ叙事詩』。ミュシャのチェコ国民として、スラヴ民族としての誇りと想いが描かれているこの全20作が公開されるのは、チェコ国外では初となる。
ミュシャがこの『スラヴ叙事詩』を描くきっかけの一つは、アメリカ滞在時にボストン交響楽団のコンサートで、チェコ出身の作曲家スメタナの「我が祖国」を聴いたことと言われている。スメタナの代表作でもあるこの作品に込められた故郷への想いに触発され、ミュシャはスラヴ民族の歴史を描く作品を制作することを決意した。
当時のチェコはオーストリア=ハンガリー帝国の占領下。その状況を憂いて、多くのチェコの芸術家たちがスラヴ民族を思う作品を残している。同時期に活躍した作曲家ドヴォルザークはミュシャと同じようにアメリカで生活。アメリカから遠い故郷を想い、交響曲 9番「新世界より」を作曲した。また、ミュシャとは生涯の友であった作曲家ヤナーチェックも、第一次世界大戦後に自国の独立を祝いシンフォニエッタを作曲したという。
CD『スラヴ賛歌~ミュシャとチェコ音楽の世界』には、『スラヴ叙事詩』の最初の1作、「原故郷のスラヴ民族」の絵柄をジャケットに使用。収録楽曲にはチェコの作曲家、スメタナの「我が祖国よりモルダウ」、ドヴォルザークの「新世界より」、ヤナーチェック「シンフォニエッタ」といった代表作、有名曲の他に、チェコの民謡、チェコ語で歌われるアヴェ・マリア、そしてチェコ共和国国歌といった変わり種までをチェコのアーティストをメインに収録した、チェコ音楽入門盤としてぴったりの作品となっている。
そして『スメタナ「わが祖国‐『ミュシャ展』開催記念-』のジャケットには、『スラヴ叙事詩』の最後の1作「スラヴ民族の賛歌」の絵柄を使用。今作にはスメタナの「我が祖国」全曲を収録しており、スメタナが思い描く祖国の文化や自然、歴史を収録総分数、74分というヴォリュームで堪能することができる。ブックレットには楽曲解説と共に絵画全20作品をカラー掲載、美術館を廻るように音楽を楽しめる。
◎リリース情報
アルバム『スラヴ賛歌~ミュシャとチェコ音楽の世界』
2017/03/08 RELEASE
<CD>KICC-1358 / 1,800円(tax out.)
01.スメタナ:交響詩「モルダウ」(連作交響詩「わが祖国」より)
演奏:リボル・ペシェク<指揮>チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
02. スメタナ:弦楽四重奏曲 第1番 ホ短調 「わが生涯より」-第4楽章
演奏:プラハ弦楽四重奏団 スメタナ:女声合唱曲「三声の歌」より
03.私の星
演奏:プラハ少年少女合唱団
04.日没
演奏:プラハ少年少女合唱団
05. ドヴォルザーク:チェコ組曲 作品39-第2曲
演奏:ズデニェク・マーツァル<指揮>チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
06. ドヴォルザーク:交響曲 第9番 「新世界より」-第2楽章
演奏:オトマール・スウィトナー<指揮>シュターツカペレ・ベルリン
07. ドヴォルザーク:わが母の教えたまいし歌
演奏:チェコ少年合唱団“ボニ・プエリ”
ヤナーチェック:シンフォニエッタ
08.第1楽章 ファンファーレ
09.第4楽章 街並み
演奏:ハインツ・レーグナー<指揮>ベルリン放送交響楽団
10.チェコ民謡集
ホップが実っていたとき~鳩が岩かげから飛んだ~私は残念でたまらない
~おお息子よ、家に居るのか~私は布地を買った~小麦畑から鵞鳥がでてくる
演奏:プラハ少年少女合唱団
11.アヴェ・マリア(シューベルト)※チェコ語歌唱
演奏:プラハ少年少女合唱団
12. 我が家何処や(チェコ共和国国歌)
演奏:陸上自衛隊中央音楽隊
アルバム『スメタナ「わが祖国‐『ミュシャ展』開催記念-』
2017/03/08 RELEASE
パーヴォ・ベルグルンド指揮/ドレンスデン国立管弦楽団
<CD>WPCS-13666 / 1,800円(tax out.)
スメタナ:連作交響詩「わが祖国」(全曲)
01. ヴィシェフラド(高い城)
02. モルダウ
03. シャールカ
04. ボヘミアの森と草原より V.ターボル VI.ブラニーク
◎展示情報
【ミュシャ展】
2017年3月8日(水)~ 6月5日(月)
場所:国立新美術館(東京・六本木)企画展示室2E
休館日:毎週火曜日(ただし5月2日(火)は開館)
会館時間:午前10時~午後6時
(毎週金曜日、4月29日(土)~ 5月7日(日)は午後8時まで)
※入場は閉館の30分前まで