野宮真貴、週末の横浜で横山剣&松尾レミと“バレンタイン渋谷系”ライブ開催
野宮真貴、週末の横浜で横山剣&松尾レミと“バレンタイン渋谷系”ライブ開催

 週末の2月11日と12日。長閑なカップルや家族連れで賑わう横浜赤レンガ倉庫に位置するモーション・ブルー・ヨコハマで初めて、今年5年目となる【野宮真貴、渋谷系スタンダード化計画】の公演が行われた。

野宮真貴 ライブ写真

 お馴染みの「東京は夜の七時」で幕を開けた後は、ロマンチックな港町横浜にふさわしく、またバレンタインが近いということで、ラブソングばかりのスペシャルな選曲となった。

 中でも、前半のハイライトは、チョコレートのテレビCMの名曲を披露した“バレンタイン・スペシャルコーナー”。60年代や70年代びCMソングには、時代を築いた作家たちが素晴らしい楽曲を残している。当時のCMソングは、ミュージシャンたちのクリエーションの場所であり、実は渋谷系につながる作家たちも数多く参加している。まず披露されたのはシュガーベイブ時代の山下達郎が作詞・作曲・歌唱をつとめたコマーシャル・ソング「不二家ハートチョコ」。日本にバレンタイン・デーが定着したのは、このハートチョコレートの歌があったからかも知れない。続いてチョコレートのCMソングの元祖、いずみたくの作曲による「明治チョコレート・テーマ」は、67年のザ・タイガースのバージョンで披露。そして、不二家・明治ときたら次はロッテ!ということで、浜口庫之助の作詞・作曲による「小さな瞳」を披露。洋楽のようなモダンな作風でピチカート・ファイヴにも影響を与えた楽曲で、野宮も子供の頃によく聴いたとのこと。さらに「不二家ソフトエクレア」のコマーシャル、荒井由実の「ほっぺたにプレゼント」を歌った後に、こちらはCMソングではないが、やはりバレンタイン・デーの名曲、大滝詠一の「Blue Valentine’s Day」でコーナーの幕を閉じた。

◎横山剣が登場し“大人のバレンタイン”を届けた11日公演

 二日間で異なるゲストを迎えた今回の公演。初日11日は、ライブ中盤でスペシャル・ゲスト、横山剣が登場。この日のコンセプトは「バレンタイン・スペシャル・オム」。野宮と同い年(1960年生まれ)でデビューも同じ1981年の横山剣。去年はお互いのアルバムにも参加しており、まずは2014年フジテレビ・ドラマ『続・最後から二番目の恋』のエンディングテーマ曲「T字路」をデュエット。そして野宮からのリクエストで横山のクールス時代のデビュー曲「シンデレラ・リバティー」をコーラス=野宮、ボーカル=横山剣という豪華な布陣でお届け。そして3曲目は、昨年リリースされた野宮のアルバムのタイトル曲「男と女」。フランシス・レイ作曲、ピエール・バルー作詞のフランス映画の名作「男と女」主題歌で、日本語訳詞は小西康陽が担当。野宮は「昨年、映画制作50周年ということで、プロモーションで来日したバルーさんとトークショーをしました。日本語カバーをすることで最後にバルーさんと関われたことはとても光栄です」と思い出を語り、横山剣もは「この映画は子供の頃にテレビで観た映画。スポーツカーと音楽、という栄養を受けた」と自身のエピソードを語った。間奏パートでは二人でチーク・ダンスも披露した。

 ライブ終盤で「2012年から始まった『野宮真貴、渋谷系を歌う。』も今年で5年目、みなさんにこうして観に来ていただけるお陰で続けられています。いつも本当にありがとうございます。このモーション・ブルー・ヨコハマでのバレンタインライブも毎年恒例になればいいと思っていますのでご贔屓のほどよろしくお願いします!」とファンに感謝し、最後は「今の世界に一番必要な歌だと思っています。バレンタインに贈る究極のラブソングをみなさんと世界が幸せであることを祈って。」と語り、渋谷系のルーツ、バート・バカラックの名曲「世界は愛を求めてる。」を、小西康陽の日本語訳詞版で、ピアノ・ソロで力強く歌い上げ、会場は温かく深い感動に包み込まれた。

 アンコールは「野宮真貴、渋谷を歌う。」恒例のピチカート・ファイヴ・メドレー。シングルになったラブソングを集めた「ベストヒット・ピチカート・メドレー」で会場は最高潮の盛り上がりを見せた。

◎松尾レミを迎え“ロック渋谷系”な12日公演

 翌12日のコンセプトは「バレンタイン・スペシャル・ファム」。渋谷系チルドレン、GLIM SPANKYの松尾レミを迎えての“ロック渋谷系”スペシャル・ライブとなった。二人のつながりは、レミの両親がピチカートの大ファンで、松尾も3歳の時から渋谷系やピチカートを聴いて育っていたということに遡る。それだけでなく、二人はともに60・70年代のファッションや音楽を愛するなど、世代を越えた共通点も多い。演奏では、レミがピチカート・ファイヴの中で一番好きな曲としてリクエストした「if I were groupie」を披露。この曲はピチカート時代でもライブでは歌っていない、レコーディング以来初めてのライブ歌唱という貴重なパフォーマンスとなった。また、レミのアコースティック・ギターのソロ演奏によるGLIM SPANKYのの「NIGHT LAN DOT」では、会場が彼女の声に酔いしれた。そして3曲目、ピチカート・ファイヴの「スーパースター」は「ピチカートの中で一番ロックなこの曲をレミちゃんに歌って欲かった」と、GLIM SPANKYのファンとして、野宮の側からリクエスト。それぞれボーカル・スタイルが真逆の二人のデュエットでは、野宮の透明感のある声に、レミの歪んだ声が重なって生まれる独特なハーモニーに会場が酔いしれた。

 さらにアンコールの「ベストヒット・ピチカート・メドレー」でも最後の「トゥイギー・トゥイギー」でレミが特別参加! 世代を超えた幅広い層のファン、そしてミュージシャンからも支持される野宮真貴のライブが大成功のうちに幕を閉じた。

 2017年最初のライブを、豪華ゲストを迎え、世代を超えた渋谷系ライブで飾った野宮真貴。5月のツアーも決定し、昨年以上に精力的にライブ活動・アルバムリリースをする予定。今月22日には「男と女」アナログ・シングルを発売。また同日に野宮真貴をフィーチャーしたDJ HASEBEのアルバムも発売される。この数年の音楽活動によって、渋谷系再燃の火付け役となり、エッセイや自信がプロデュースした口紅、そして“美人になるテクニック”を綴ったエッセイがロングセラーをするなど大人の女性としてのファッションアイコン、ロール・モデルとして、精力的な活動している野宮真貴。57歳を迎えた彼女の動きに今年も注目したい。


◎公演情報
【野宮真貴、渋谷系を歌う。~Valentine Special~】
神奈川・モーション・ブルー・ヨコハマ
2017年2月11日(土)・12日(日)
メンバー:野宮真貴(Vocal)
スパム春日井(Per/Key/Cho)、真藤敬利(Pf/Key/Cho)、石田純(B)、平里修一(Ds)
SPゲスト : 2月11日(土)横山剣(クレイジーケンバンド)、2月12日(日)松尾レミ(GLIM SPANKY)

【野宮真貴、渋谷系を歌う-2017-。“Vacances”】
2017年5月3日(水・祝) ビルボードライブ大阪
2017年5月4日(木・祝) 名古屋ブルーノート
2017年5月6日(土) ビルボードライブ東京