先日、twitterという140字しか書けないサイトでプチ小説を書いている人たちの飲み会に参加した。
 7月に始めたtwitter小説という試みが、想像以上に広がっている。3ヶ月足らずで投稿者は 700名、投稿総数はなんと10000件を超えた。多い時には1日300件もの作品が寄せられている。

 140字という少なさがとっつきやすいのか、今まで小説を書いたことがない人も、面白がって参加している。そしてひとたび書き始めると、僅かな量の中で起承転結を詰めなければならないという面白さにハマり、書き続ける人が続出している。

 当日集まったのは18名で、そのうち女性は4人。ネットのオフ会だから多くの人がノートPCを持参してきたのはわかるけれど、私が驚いたのは、何人かが、「グッズ」を作ってきたことだ。

 自分が書いた140字の物語を名刺に刷ってきた人、今までの10000投稿を分析し、発言数順にランキングを作ってきた人、ホチキス止めの「twitter小説の書き方」という小冊子を作ってきた人などがいた。中には小説をTシャツにプリントしようとしている人までいた。

 そんな私も、140字小説を印刷したしおりを持参していた。短い小説は、しおりにするのにちょうど良い長さだったのだ。両面フルカラーで500枚刷って8400円と価格も結構お手頃だった。みんなに配って「おお?!」と驚かせようと思っていたのに他にもグッズ制作者がいたとは。どうもこのプチ小説、何かやってみたいと思わせる可愛らしさがあるようだ。

 宴もたけなわの頃、ひとりの参加者が「これは世界で1つだけのものです」といってとある書籍を回覧した。そこには今まで投稿されたtwitter小説の1番目から8000番目までが聖書ほどのサイズの本の中に小さなフォントで収められているものだった。彼はなんとこの1冊を作るのに1万円も費やしたという。ネットで読めば無料なのに、どうしても本としてまとめたくなったと彼は言った。ああ、本というのはそもそもこうやって「まとめたい」というエネルギーが集約されてできるものなのかもしれないな、とその時大切なことを教えられた気がした。

 そんな私のまとめたい欲が高じて、11月5日には、10人のプロ作家が10作品ずつ挑戦したtwitter小説集を出版する。タイトルは『140字の物語』。これが全く新しい読み物として定着するといいな、とワクワクしている。