米国が無意味な“著作権警告システム(Copyright Alert System)”を紹介するまで消滅したと思われていたデジタル著作権侵害の闘いが、その長い眠りから目を覚ましたようだ。
アメリカレコード協会(RIAA)とFBIは先日、ウェブ上で著作権侵害が最も多く行われているファイル共有サービス、Sharebeast(シェアビースト)を閉鎖。また、ロシア版FacebookであるVKontakte(フコンタクチェ)は先週、大きな訴訟で敗訴(損害賠償を支払って回避)し、ロシア政府は広告主を“不名誉リスト”に載せ辱めにあわせることで著作権侵害サイトを無力化する意向を示した。
これを受けて米司法省は10月2日、司法省とFBIが企業との連携を一層密にして知的所有権侵害を防止する“新協調戦略”を発表。ロレッタ・E・リンチ司法長官は声明で、「ソニーやターゲット(ディスカウントストア・チェーン)など、注目を集めたハッキング事件は、全ての企業が直面する脅威の深刻さを証明し、巧妙な敵が実質的で長期的な危害をもたらす可能性を浮き彫りにしました」と述べている。同発表は主に、第三者市場(すなわちeBay)と偽造品に焦点を当てたものだ。
司法省はまた、知的所有権と著作権侵害の取り締まりを援助するために合計320万ドル(約3億8,400万円)の資金を、警察など10の地方当局に支払うと発表した。偽造や著作権侵害のほとんどが州境と国境に及ぶため、捜査や起訴はたいてい、連邦あるいは政府間機関に委ねられる。今回のリンチの指令により共同の取り組みが行われ、地方当局の役割が拡大することになるだろう。
昨年のソニー・エンタテインメントのハッキング事件は、権利所有者と司法の力が男女の悪玉ハッカーたちを割り出し、起訴するのに一役買った。しかし、他サービスのプレイリストをインポートするAurousが出現したり、権利所有者によるコンテンツ削除要求が最近ますます難しくなったりと、著作権侵害との闘いはまだまだ終わりが見えていない。ただし、今や誰もが意識しているようには思われる。