それに加えて、岸田首相にとって逆風となったのが、イギリスのエリザベス女王の逝去、9月19日の国葬だった。
イギリスでは慣例で、国王や女王など国家元首は国葬となる。エリザベス女王に世界中から弔意が寄せられ、国葬の前から壮大で厳粛な儀式が世界中に流された。
エリザベス女王の国葬には、アメリカのバイデン大統領が出席し、イギリスのトラス新首相との会談実施も公表された。まさに弔問外交が展開された。ツイッターでは、【本物の国葬】というキーワードがトレンド入りした。
一方、安倍元首相の国葬には、アメリカはバイデン大統領、トランプ前大統領ともに欠席、ハリス副大統領が参列することが決まっている。G7の首脳の参列者はカナダのトルドー首相のみだ。安倍元首相は長期政権で、海外の首脳とは厚い信頼で結ばれていたとみられているというのが「売り」だったはずだが。
「どの国も国葬の出欠については、なかなか返答がこないのが現状。そこに、エリザベス女王の逝去でますます遅れている。中にはエリザベス女王の国葬出席のため、日本は見合わせるという国もあるそうです。また直前に国連総会がニューヨークで開催されることも返答がこない理由の一つ。岸田首相は自ら国連総会に出席して、外相経験者らしく国際通を披露し、国葬では弔問外交を日本で目論んだが一気に吹っ飛んだ」(外務省幹部)
一時は、支持率アップをにらみ、エリザベス女王の国葬へ岸田首相の出席も検討されたという。しかし、官邸関係者がこう打ち明ける。
「日本からは天皇皇后両陛下がご出席されることが、早々に決まっていました。日本とイギリスの皇室のゆかり、深い関係からは誰もが納得できるところです。岸田首相もそこにと検討したが、そもそも天皇皇后両陛下が参列されるということは、岸田首相は招待しませんという意味合いになります。招待されていないのに、割り込むことはできませんよね」
国葬に多額の税金をつぎこむことへの批判も多い。