稲田真優子さん
稲田真優子さん
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 10月12日、大阪地裁の法廷で宮本浩志被告(57)は、初公判の時と同様に持論を展開。47分間に及ぶ“独演会”に、遺族や傍聴人は怒りをあらわにし、裁判は結審した。

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 宮本被告は昨年6月、大阪市北区のカラオケパブ「ごまちゃん」の店内で、経営者稲田真優子さん(当時25)の首や胸を刃物で刺したり、切りつけたりして殺害した罪に問われている。

 この日、検察側は論告で、

「宮本被告のビジネスシューズ、スーツなどに稲田さんの血痕が付着していた」

「犯行に使用した粘着テープに宮本被告の指紋があった」

「店内には宮本被告の結婚指輪が落ちていた。そこから稲田さんの皮膚片が検出された」

「稲田さんのスマートフォンをアルミホイルで包み、LINEなどを受信できないようにするなど犯行は計画的」

 などと指摘し、無期懲役を求刑した。

 一方、宮本被告の弁護人は、

「宮本被告が必ずしも犯人ではない。偶然、犯人と出くわして、脅されて何も言えないのかもしれない」

「ビジネスシューズなどの血痕がいつ付いたのかわからない」

「完全に宮本被告の犯行であると証明されていない」

 などと訴え、「無罪である」と主張した。

 論告と最終弁論がそれぞれ終わり、裁判長から、

「最後に話したいことは」

 と促された宮本被告は、証言台の前に座り、「えーっと、言いたいことがありますけど。まず…」

 と“独演会”の口火を切った。

 犯行動機として検察側が指摘した「一方的に好意を募らせ、満たされない思いを晴らそうと犯行に及んだ」との主張に対し、

「稲田さんに『付き合っている人はいないの?』と聞いたら、いないと言っていました」「(メッセージを頻繁に送信していた)LINEの件ですが、毎日送りました。半年に1回くらい、稲田さんに送っていいかと聞いていた。いつも『いいですよ』と言われた」

「去年6月に、自分の誕生日で稲田さんと食事に行ったときプレゼントをもらった。白ワインでした。稲田さんは一生懸命、一生懸命、どのワインにするか調べてプレゼントしてくれた。私は『開けていい?』と聞き、一緒にワインを飲みました。その日、お店を出たとき、『明日も店に行くよ』と言ったら、稲田さんは『はい』と返事をしてくれた」

 などと稲田さんとの親しさを強調した。

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法廷に響いた「パチン」という音