ガダルカナルみたいな戦いをやったら負けるのはわかっている。しかし、大本営が、しかも現場もやらせてくれと言っている。今まで進んできたものを転換するのは政策転換のコストがかかるから、もう無理だというところにくるまで政策転換ができないということでした。終戦の時もそうだったのだと思います。
加藤:それが日本の特性ですか。
佐藤:日本だけでなく、人間の限定合理性によるものだと思うんです。例えば最近のオリンピックもそうです。どうして(コロナ禍の中で)こんな変なオリンピックに突っ込んでいったのかと。
加藤:そういう状況が日本の戦争にもあったということですね。
佐藤:まさにそういうことです。今もその状況に近づきつつあるのではと思うんです。日本はウクライナに殺傷能力のある兵器を送っていないし、支援もほとんどしていないわけですから、逆に戦争をやめさせる仲介者としてはすごくいい立ち位置にいます。兵器を一つも送っていないということは、日本が送った兵器によって殺されたロシア人が一人もいないということですから、ロシアの日本に対する感情は決して悪くないんです。それなのに岸田文雄首相が勇ましい勢いでキーウに行ったらロシア人はどう思うでしょう。
加藤:今後、日本は武器を送るつもりなのでしょうか。日本は武器を持たない国だというポリシーを徐々に切り崩していって、武器を持つ国へと一気に進んでしまおうとしています。
佐藤:武器を持ち、武器を送る国へと一気に進みたいと思っている人たちはいます。ただ、私はそこまでいかせてはならないと思います。
報道の扱いは大きくありませんでしたが、1月11日に創価学会の池田大作さんがウクライナ戦争に関する緊急提言を発表しました。そこでは「ロシアの侵略」ということを一言も言わず、「国連主導で両国の外務大臣を集めて早期に停戦交渉をさせた後に、首脳会合をやり停戦させろ」と言っているんです。創価学会を支持母体とする公明党は、この池田さんが言ったことに影響されます。そうなると自民党も遠慮しないといけなくなる。だから、日本がウクライナに兵器を送れない要因の一つは池田さんだと思うんです。