大阪府の吉村洋文知事

「入札は条件を変更して再度、行うと聞いている。入札の不調が万博全体の工期、予算に影響を及ぼすことはない」

 との見解を示す。

大阪・関西万博に関する要望書を岸田文雄首相に渡し終え、取材に応じる吉村洋文・大阪府知事(中央)=2022年12月16日
大阪・関西万博に関する要望書を岸田文雄首相に渡し終え、取材に応じる吉村洋文・大阪府知事(中央)=2022年12月16日

 府のある幹部は

「現在の対策費は、土壌汚染、液状化、地中埋設物の撤去の三つで790億円。地盤沈下は含まれていない。吉村知事も追加費用について、かなり神経質のようだ。夢洲のような埋め立て工法で地盤沈下を抑える技術は“未知”という見解もあり、どれだけ負担が必要になるのかわからない。それになんといってもまだ国から認定がおりていない。綱渡りのようだ」

 と不安要素が多いことを指摘する。

 事業者の大阪IRは、昨年3月の大阪市議会で事業の撤退の有無について聞かれ、

「あるかなしやというご質問については、あるかもしれません」

 と答えている。そして大阪市議会ではIR誘致のために、不動産鑑定を大阪市などの当局が「操作」したのではないかとの追及が白熱している。

 万博とカジノは「ヤバイ」状況を脱することができるのか?

(AERA dot.編集部 今西憲之)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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