日本の小中学校に就学していない外国籍の子は約2万人。その最大の原因は日本語教育の整備の遅れにあるという。AERA 2020年3月9日号では、東京都をはじめとした全国の外国籍児童・生徒への日本語指導の現状を追った。
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サクラサク。
1月31日、都立高校入試の合格発表に先駆け、たぶんかフリースクール(東京都荒川区)に一足早く春が訪れた。在京外国人生徒を対象とした入試の合格発表があったのだ。
入国後の在日期間が3年以内の外国人生徒を対象とした特別枠で、試験は面接と作文のみ。都立高校8校で合計150人の募集があり、217人が受験した。たぶんかからは13人が挑戦し、11人が合格した。たぶんかを運営するNPO多文化共生センター東京の枦木(はぜき)典子・代表理事はこう話す。
「日本人の高校進学率は99%に近く、もはや義務教育の一部と言えるほどです。日本で進学したり、就職したりして、社会人として自立して生きていくためには、外国籍生徒にとっても高校卒業資格は必須なのです」
ただ、その壁は相当に高い。外国人が多く暮らす自治体で構成する「外国人集住都市会議」の調査によれば、2018年3月に中学を卒業した811人の外国籍生徒の進路を調査したところ、全日制高校への進学率は62%にとどまっている。冒頭のような特別枠の受験を全都道府県が実施しているわけでもなく、全国的にみれば実態はさらに厳しいだろう。
文部科学省は昨年、日本に住む外国籍の子どもたちの就学状況に関する初の全国調査を実施した。東京や大阪などの都市部を中心に、外国籍で小中学生にあたる年齢の子どもが約12万4千人おり、そのうち約2万人が不就学状態にある可能性がわかった。枦木さんは「学びを保障されていない子どもはもっと多い」と指摘する。