個人的に衝撃だったのは、自分の採寸データから描かれた3Dアバターだ。私の体を3Dでトレースしたカッコいい図なのだが、これがボンキュッボンならぬボンボンボンで、まるで園児。長年重力に引っ張られ続けた「お胸」も、自分がイメージするよりはるか下に、それも申し訳程度のボリュームで確認できた。えーん。
そんな傷心の自分に優しく接客してくれたのが、同社の販売員の接客ノウハウなどを学習させたという接客AIだ。下着の悩みや好みのデザイン、シルエットなどを答えていくと、採寸データをもとにぴったりのブラをいくつか提案してきた。
さっそくひとつ試着してみよう。考えてみれば、ある日突然、王子様があらわれて、下着を見せる想定外の事態に備える必要がない年齢になって久しい。いや、人生でそんな事態はとうとうなかったが、とにかく今や私のタンスは、スーパーで試着もしないで買ってきた楽ちんブラだらけとなっている。
そのせいもあるんだろう。接客AIが提案してきたブラの、包み込むような優しいフィット感が感動ものだ。
「バストの“揺れ”は靭帯に負担がかかり、動くことで、形が崩れる一因とも言われています。体形に合ったブラジャーを着けることは、美しいバストを保つことにもつながるんですよ」(村田さん)
一方、エイジングしてしまったバストにも、この採寸システムは有効となった。ブラを試着したまま再度、計測にトライすると、アバターのバストが明らかにロケット化。ボンボンボンは同じだが、これだけでシルエットは見違えるほどよくなった。もちろん個人的にお買い上げ! やるじゃん、令和のマヌカンさん。(ライター・福光恵)
※AERA 2019年8月5日号