毎日の通勤・通学、仕事の合間、買い物も立派なウォーキングタイム。その一歩が健康につながる(撮影/今祥雄)
毎日の通勤・通学、仕事の合間、買い物も立派なウォーキングタイム。その一歩が健康につながる(撮影/今祥雄)
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歩くことで病気も防げる(AERA 2019年5月27日号より)
歩くことで病気も防げる(AERA 2019年5月27日号より)
年齢別「中強度」の運動の目安(AERA 2019年5月27日号より)
年齢別「中強度」の運動の目安(AERA 2019年5月27日号より)

 新緑が気持ちいい季節、何か運動を始めたいと思う人も多いだろう。健康効果を考えるなら、まずは歩き出そう。1日8000歩、そのうち早歩き20分で、効果はてきめんだ。

【図を見る】歩くことで病気も防げる?ポイントは?

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 イラストレーターのはらだよしのりさん(43)がジョギングに挑戦したのは6年前、当時勤務していた印刷会社の社内異動で、店頭スタッフからデザイナーとなったことがきっかけだ。一日中パソコン作業をすることになり、運動不足を実感、解消のために走ることにした。

 1回4~5キロ、1キロあたり6分程度のゆっくりペース。もともと運動習慣がなかったため、無理のないよう毎日ではなく1日おきにした。それなのに2週間ほど経つと膝に痛みを感じるようになった。さらに両足の指のつけ根も痛み、整形外科を受診するとこう言われた。

「開張足(かいちょうそく)なので走るのはやめたほうがいいでしょう」

 開張足とは、足の指のつけ根を横に結ぶアーチの形が崩れ、足の指が横に広がる症状で、外反母趾になることもある。この状態で走ったことが負担となり、痛みにつながっていたのだ。

 仕方なく走ることはあきらめ、体重計を購入して体重管理と日々の食事に気をつかうようにしたが、体重は減らない。

「やっぱり運動しなくちゃ」

 そう思ったはらださんは、2014年5月、ウォーキングを開始、家の近所の1.5キロのコースを約2周、30分ほどかけて歩くことにした。時速約6キロ、なかなかのハイペースだが、膝や足の痛みはない。しばらくすると体重や体脂肪が下がりはじめ、ウォーキング開始前に64キロあった体重は、60キロを切るまでに。同年8月以降は現在に至るまで1日も欠かさず続け、身長173センチ、体重60~61キロ、体脂肪率18%前後をキープしている。

「面倒くさがりの僕が続けることができたのは、ハードルを下げたから。ルールはiPhoneのアプリ『Run Keeper』を起動させる、これだけです。いつものコースだけではなく、通勤途中や昼休みでもOK、距離は何キロでもよしとした。ジョギングはここまで気軽にできないし、足の痛みがなくても続かなかったかもしれません」

 何か運動を始めたいと思ったとき、ジョギングとウォーキング、どちらがいいか悩む人もいるかもしれない。

「走ること、歩くこと、どちらが体にいいのか。古くからその議論はあります」

 そう語るのは、『アンチエイジング・バトル 最終決着』(朝日新書)などの著書がある、日本抗加齢医学会理事の坪田一男医師だ。

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