私は偉大な戦士ではありませんし、戦争は嫌いです。戦争について話すのはほとんど苦痛です。ウクライナで起こっているのは恐ろしいことです。戦争です。人が殺され、民間人も殺されています。しかし、まさにこの瞬間、戦争は次の段階に進みつつあると思います。
次の段階とは、経済的なものです。つまりエネルギー問題がヨーロッパ経済に与える影響が戦争の行方に重要な意味を持つでしょう。繰り返しになりますが、これは、高度な兵器とは程遠い話です。単純なエネルギーをめぐる問題が与える影響が大きくなっていくはずです。
エマニュエル・トッド
歴史家、文化人類学者、人口学者。
1951年フランス生まれ。家族制度や識字率、出生率に基づき現代政治や社会を分析し、ソ連崩壊、米国の金融危機、アラブの春、英国EU離脱などを予言。主な著書に『グローバリズム以後』(朝日新聞出版)、『帝国以後』『経済幻想』(藤原書店)、『我々はどこから来て、今どこにいるのか?』『第三次世界大戦はもう始まっている』(文藝春秋)など。