ウクライナは欧米各国にさらなる兵器の提供を要請しています。英国からは近く戦闘機が送られるとみられますが、訓練には数カ月かかります。すぐに戦況を変化させることができるものではなく、戦局がどう決着するのか、ますますわからなくなっているのが現状です。
昨年末、ウクライナのゼレンスキー大統領は米議会で演説し、「あなた方のお金はチャリティーではない。世界の安全と民主主義に対する投資です」というメッセージを発しました。ただ、その意識を米国民はもちろん、その他世界の国々が持つことができるのか。ウクライナ支援一色だった世界の世論に暗雲が立ち込めています。
ロシアのウクライナ侵攻は許されないことである、という点で世界は一致しています。国連もこの1年間、国際社会の意思として、力による現状変更は認められないことを示してきました。その点において国連は無力ではなかったと思いますが、事態を打開するには至っていません。
5月に広島で開催されるG7サミット(主要7カ国首脳会議)の議長国は日本です。岸田文雄首相は「日本はアジアで唯一のG7の国。被爆国と核保有国、欧米とグローバルサウス諸国をつなぐ架け橋です」というキーワードをよく口にします。具体的に何をするのでしょうか。ウクライナ問題で日本は復興支援に大きな役割を果たしているとは思いますが、今後どういう外交努力をするのか非常に注目しています。
(構成/編集部・古田真梨子)
※AERA 2023年2月27日号