社内情報をチャットGPTに入力する社員がどれぐらいいるのか。

 米シリコンバレーのセキュリティーベンチャー「サイバーヘイブン」が3月21日に更新した調査結果によると、顧客企業(社員数合計160万人)のナレッジワーカー(知識労働者)のうち8.2%が職場でチャットGPTを利用したことがあり、社員の3.1%が機密情報をチャットGPTに入力したことがあったという。

 さらに、2月末からの1週間の状況を調べたところ、社員10万人当たりで社外秘の文書の入力が199回、顧客データの入力が173回、プログラムのソースコードの入力が159回、確認できたという。

 また、プロフェッショナル向けソーシャルメディア「フィッシュボウル」が2月1日に公表したユーザー調査では、チャットGPTなどのAIツールを職場で使っていた回答者のうち、68%は「上司はそのことを知らない」としていた。

 ただ、当初はチャットGPTなどの業務での利用を禁止していた企業が、安全対策を取ったうえで活用に乗り出す動きもある。

 日本経済新聞の4月11日付の報道によれば、三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)、三井住友FG、みずほFGは、いずれも日本マイクロソフトの協力を得て、独自開発を含むチャットAIの導入を表明している。

 いち早く情報漏洩を警戒したアマゾンも13日、クラウドサービスのAWS上でチャットAIに対応するAIサービス「アマゾン・ベッドロック」を提供する、と発表した。

■効率化の影響を受ける職業

 雇用へのインパクトも懸念されている。

 オープンAIは、ペンシルベニア大学との共同研究で、労働市場への影響を調査し、3月27日付で公表した。調査結果では、米国の約80%の労働者は、チャットGPTなどの導入によって少なくとも仕事の10%に影響を受ける可能性があり、約19%の労働者は影響の割合が少なくとも仕事の50%に上るとした。

 AIは、思考はできないが、ある程度手順の決まった作業の自動化、高速化はずば抜けている。そのため、仕事の内容によって影響の濃淡もある。調査によると、科学的スキル、批判的思考(クリティカル・シンキング)のスキルは影響を受けにくい一方で、プログラミングやライティング(文章作成)のスキルは極めて影響を受けやすい、という。

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