会社や家庭では男女平等を口にしていても、男女それぞれの役割を互いに期待してしまうのが実情。ゆえにすれ違いも起きやすい(撮影/堀内慶太郎)
会社や家庭では男女平等を口にしていても、男女それぞれの役割を互いに期待してしまうのが実情。ゆえにすれ違いも起きやすい(撮影/堀内慶太郎)
この記事の写真をすべて見る

 社会全体で男女平等が本格的に叫ばれるようになった昨今だが、その中心は企業や、家事育児など家庭の中の話となっている。では、恋愛においてはどうなのだろうか。

「社内恋愛をしていた元カレに、納得いかないことを言われたのを覚えています」

 と話すのは、広告制作会社に勤める36歳女性。同じ部署の男性と交際を始めたが、

「まず、服装の趣味を押しつけてくるんです。女性の中には彼氏好みの服装に合わせたいという人もいるのは知っていますが、彼はそれを当たり前だと思っていて、『もっとこういう服を着てよ』なんて言ってくる。私は自分の着たい服を着たいのに」

 確かに、女性の中には「彼好みの私」になることに幸せを感じる人もいる。服装だけでなく、髪形を変えたり、彼の趣味に付き合ったりすることも、恋愛の楽しさだという考え方もある。

「でも彼の場合はそれだけじゃなくて、勝手に結婚後のプランも考えていたんです。プロポーズもまだなのに、家を買う算段を立てていて。それも、私が彼の母親の介護をする前提での2世帯住宅。何の相談もなく、結婚したらこうするから、って」

 結局、自分が人生のパートナーとしてではなく、添え物として彼に見られている感覚が嫌になり、別れを切り出したという。

「別れた後も、『オマエなんでまだ会社にいるの』という態度をとられました。同じ部署だったので気まずいのはありますが、仕事とは関係ないことですし、なぜ私のほうが気を使って仕事から身を引かなきゃいけないのか、意味がわかりませんでした」

 恋愛でも、「女は男に従うべきだ」「決定権は男」という考え方が、男女の間に亀裂を生じさせることがある。

 一方で、男性のほうも恋愛においての「男女不平等」を感じることが多いようだ。何人かに意見を聞いてみた。

「食事代は割り勘でOKでも、ホテル代を割り勘にしたら絶対に引かれると思うんですよね」(34歳・オフィス機器)

「デートの誘いからキスやセックスのタイミングまで、すべて男がリードすべきだという暗黙の了解がつらい。リードできない男はダメという考えは男女平等ではないと思う」(29歳・SE)

次のページ