●手数料稼ぐための商品

 毎月分配型は、目先の利益にひかれた人に売りやすい投信ともいえる。

「金融機関の販売担当者は運用、投資のプロではなく販売のプロであって、相談に行くのはカモになるだけ」と警鐘を鳴らすのは、ファイナンシャルプランナーのカン・チュンド氏。

「投信を販売手数料を稼ぐための商品と見ている金融機関は多い。個人投資家に長期で保有してもらうより、新しい商品を次から次へと購入させて手数料を稼ぐほうがいいのです。“回転売買”といい、金融機関などがよく使う手法です」(カン氏)

 個人投資家による投信の平均保有年数は3.5年。金融庁が14年に少額投資非課税制度(NISA)を始めてから長くなったとはいえ、まだ圧倒的に短い。長期の資産形成ができていない証しだ。

 販売手数料も無料の投信が増えてきたものの、投信の先進国である米国に比べてまだ高い。金融庁によると、日本は平均で3.2%と、米国0.59%と比べて5倍以上だ。3.2%ならば、100万円を投資する人は3万2千円、1千万円を投資する人は32万円かかる。同じ商品を買うのに投資金額が違うだけで手数料が大きく違い、投資する金額がそれだけ減るということになる。

 銀行などで販売する保険商品にも注意が必要だ。

「メインバンクから連絡があって『ずいぶん親切だな』と思ったのが間違いでした」

 そうため息をつくのは都内に住む無職の男性(60代)。定年退職後、2500万円の退職金の資産運用を相談しに、給与口座の振り込みに指定しているメインバンクの支店に出向いたところ、「定期預金よりも利率が高い」「少子高齢化が進む日本の円を持っているよりも海外の資産(ドル)を持っていたほうがいい」「老後は長いのでインフレヘッジする必要がある」などと、外貨建ての保険などを薦められた。しかも「分散投資をするとリスクを軽減させられますよ」と提示された通りに、米ドルと豪ドルの変額個人年金保険、投資信託をそれぞれ500万円ずつ投資した。

「元本割れのリスクがあるとは聞いていましたが、『元本割れをしても死亡保障は減額されません』と言われて、500万円を一時払いで加入してしまいました。しかし、後になって死亡保障は今さら必要ないかなと思ったのです」(男性)

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