議会だよりを「読まれるように」改革している自治体はじわじわ増えつつある。早大マニフェスト研などが選ぶマニフェスト大賞(13年)で「ネット選挙・コミュニケーション戦略賞優秀賞」を受賞した東京都あきる野市議会。議会だよりを大幅にリニューアルした。市の議会事務局員が職員研修で議会だよりを見せたところ、反応が悪かった。複数の市議も危機感を共有し、調査グループを立ち上げたことがきっかけだ。さまざまな市民との対談のコーナーを設け、議会での質問報告も議員の顔写真を小さく、余白を大きくとって見やすいレイアウトに切り替えた。予算案と決算報告については、全会派の賛否とその理由を掲載している。

「議案に対して賛否だけでなくその理由も載せることは、特に少数会派の存在意義を示すことにつながります」(中村氏)
 あきる野市のように、議会事務局が議会に対して積極的に改革案を示し、相互にチェック機能を働かせることも大切だ。顔写真なしの問題を、都議会だよりを発行している都議会事務局に尋ねたところ、こんな回答が返ってきた。

「現在の取り扱いは13年の改選期に会派間で取り決められたもので、詳細については承知しておりません」(都議会広報課)

 この扱いの差が始まったのは01年の改選期以降からで、「会派間で、議運を構成する会派のみ写真が載ると決めたそうで、以降は前例踏襲で来ています」(広報課)。

●アピール制限で顔なし

 その理由は事務局では把握していないという。塩村都議はブログで、かつて1人会派の都議が毎回の定例会で短時間ずつ質問し、顔写真を載せようとしたことに対する制裁として始まったらしいと記しているが、今もそのルールを適用するのが果たして妥当か。議会事務局は問題提起もせず、クリーンな政治に敏感な公明、民進、共産各党もダンマリを決め込む鈍感ぶりだ。

「大津市議会など、議会事務局が積極的に議会改革について提案している自治体もある。議会と議会事務局が相互にチェックしあう関係にあることが理想です」(中村氏)

 かつてないほど高い注目を集める東京都政。都民の関心を薄れさせないために、自らのあり方を厳しくチェックする姿勢が問われる。

(編集部・福井洋平)

AERA 2017年1月23日号

暮らしとモノ班 for promotion
大人のリカちゃん遊び「リカ活」が人気!ついにポージング自由自在なモデルも