小池百合子東京都知事の誕生で、都議会にも注目が集まっている。議会が長年放置し続けてきた不思議な「決まり」にも、光が当たり始めた。
小池百合子都知事が誕生し、注目を集めるようになった東京都議会。その活動を都民向けに伝える主要ツールが、広報紙「都議会だより」だ。タブロイド判4~8ページで毎回360万部、都民に向け年5回発行されている。年4回行われる「定例会」に関しては主要会派が行う「代表質問」とそれ以外の議員による「一般質問」の内容が記されている。
この都議会だよりには、不思議な「決まり」がある。各質問は質問した都議の顔写真つきで掲載されているのだが、いわゆる「1人会派」の都議だけが顔写真を外されているのだ。現在、都議会では2人以上議員がいる会派が七つあり、その会派に属さない1人会派の都議が3人いる。
2016年11月に作られた「都議会だより」では、1人会派である柳ケ瀬裕文都議(大田区)の質問のみ顔写真が掲載されていない。13年に初当選した塩村文夏都議(世田谷区)は、みんなの党に所属していた14年7月の都議会だよりでは顔写真つきで質問内容が掲載されている。だが、会派を離脱し1人会派となった後、15年11月の都議会だよりでは顔写真が掲載されていない。
●いじめのような仕打ち
1人会派の都議の数は少なく、顔写真のスペースも記事5行分と大きくない。スペース上やむなく削ったとは言えない。塩村都議は憤る。
「1人会派であっても、都民の負託を受けて議員になったことには変わりがない。こういうところで差別的な扱いをする理由が見当たらない」
議会改革に向けた情報収集や分析をしている「早稲田大学マニフェスト研究所」の中村健事務局長も、「これはいじめみたいなものではないか」とあきれる。
本誌は昨年末から今年にかけ、東京都を除く46道府県の議会事務局に1人会派の場合は顔写真を除くという規則があるかどうか尋ねた。議会広報紙がないという自治体を含め、すべての道府県で「そのような規則はない」との回答を得た。東京都だけが、このような不思議な「決まり」を有しているのだ。
塩村都議はこの件について他会派や議会事務局などにアピールを繰り返したが改まらず、16年の都議会定例会で「文書質問」をしたが、それでも回答は得られなかった。議員の質問は都知事ら「執行機関」に対してするもので、この件についての当事者は議会の事務を仕切っている議会事務局だが、質問の対象外というのがその理由だ。都議会事務局広報課がこう説明する。