管理職は体重管理を徹底している。毎年社長と1対1の年俸面接が設けられており、体重が増えると「減給」の対象になることも。面接前の控室では人事による体重測定があり、体重・体年齢・体脂肪・おなか回りなどのスコアカードを持って社長面接に臨むのだ。もちろん実績も含めて総合的に判断される。
「お客様に健康を売る立場なので、自分が健康であることが求められます。自己管理できないと部下の体調管理も指導できません」(広報・松尾知直さん)
どん兵衛は1976年に発売され、「うどん」「どんぶり」と「どんくさい」の「どん」からネーミングされた。このブランド名では、現在33種類の商品を展開している。
ロングセラー商品には消費者の「思い出」も含まれている。どん兵衛のコアファンである40、50代に「自分たちのどん兵衛じゃない」と思われずに、いかに商品を時代の流れに乗せていくかが求められるのだ。
そのため、変える所と変えない所の見極めに気をつけている。赤と緑のオーソドックスなパッケージは守りつつ、麺やスープなどは時代ごとに少しずつ変えてきた。2000年代後半には、本物に近いすすり心地やのどごしを追求して、縮れ麺からストレート麺にリニューアルした。
月に1度行われる新製品委員会では、全9ブランドのマネージャーが一堂に会し、社長と執行役員の前でプレゼンテーションを行い、新商品が決められる。プレゼンテーションを行う部屋に隣接してキッチンがあり、抜群のタイミングで開発中のカップ麺が提供される。同じ会社でも違うチームとなればカップ麺界ではライバル同士だ。
「最近では『明太子クリームうどん』が発売に至りました。社長には、保守的にならずに、もっと振り切っていいと言われています」(川坂さん)
●量産用に落とし込む
男性色が強かった日清のどん兵衛とは打って変わり、日清フーズで冷凍パスタの試食現場に立つのは女性担当者たちだ。消費者ターゲット層に近い女性の開発者と営業がタッグを組み、11月初旬に青の洞窟シリーズの冷凍パスタ「4種チーズ香る ペンネ クアトロフォルマッジ」を発売した。クリームチーズ、ゴルゴンゾーラなど4種類のチーズを合わせた濃厚さは冬にピッタリと考えた。