うまいタイミングを捉えて、上司への報告や情報共有をためらわない、ということは、今回登場する課長たちが総じて大切にしていたことだ。三井不動産の小川将さん(47)は、

「上司に対する報告は早めを心掛けています。タイミングは、『目があったとき』です」

 と語る。

 広島県庁の大内貞夫さん(54)は、悪い情報ほど早く報告することにしている。

「観光PRの仕事は予定通りにいかないことばかり。本をつくるときに表紙に予定していた人にキャンセルされたり、天候のせいで撮影が飛んだり。初動を誤らないよう、早めに上司との共有を心掛けます」

 当たり前のようだが、いざとなるとなかなかできない。徹底できるかどうかが、中間管理職たる課長の「成否」を分ける。

●全体像の共有が重要

 Sansanシニアマネジャーの芳賀諭史さん(37)のモットーは、ドラッカーから学んだ「上司を不意打ちにあわせてはいけない」。大内さん同様、悪い知らせは特に早めに、兆候が見えた時点で上司に伝えるようにしている。

「一度耳に入れておくと、トラブルに発展して本格的に相談するタイミングのときに、対応がとりやすくなるからです」

 ドラッカーは、「喜ばしい不意打ち」も避けるべきだと語っているという。

「自分がマネジャーになって痛感したのですが、部下の話を聞いているだけだと、全体の状況が見えにくく、本当にその案件がうまくいっているのかどうか、常に不安です」

 だから、いいニュースでも悪いニュースでも細かく報告して、全体像を上司と共有できるようにすることが大切なのだ、と話す。「報告・連絡・相談」、いわゆる報連相の大切さは、部下に対しても常に強調している。(編集部・福井洋平、高橋有紀、竹下郁子)

AERA 2016年10月10日号

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