キーポイントとなるのは中国でしょう。ウクライナと軍事技術の面で連携があり、ロシアにも影響力を持っています。つまり、今回の戦局において一番「モノが言いやすい国」と考えられます。中国に花を持たせることになるかもしれませんが、日本はまず中国と、停戦に向かうための方策を議論すべきではないでしょうか。対話ができる関係性の構築は難しい課題ですが、「日本はG7の一員だ」と叫ぶだけでは埒(らち)があきません。

 日本にとってはお金の問題もあります。90~91年の湾岸戦争の時に日本は増税までして90億ドルを支出しましたが、軍事的支援(武器弾薬、燃料など)をしなかったため「日本は何もしていない」と海外から批判されました。

 さらに、90億ドルが何に使われたのかは今もあまり知られていません。クウェートの復興に使われたのか、米国の戦費に使われたのか。国会でもほとんど議論がありませんでした。

 今回も日本はウクライナに軍事的な支援は全くしていません。いつものやり方です。そうすると、武器も弾薬も渡さなかったからと請求書が日本に回ってくる可能性はあるでしょう。

 それも含めて、次に考えなければならないのはウクライナの復興支援についてです。湾岸戦争の時は日本にはバブル経済の名残があり、経済状況はそれほど悪化していませんでした。今、同じことが起きたら対応できるのでしょうか。

 政府は昨年12月、国家安全保障戦略(NSS)など安保関連3文書を閣議決定しました。2023年度から5年間の防衛費を現行計画の1.5倍以上となる43兆円にすることなどを盛り込み、増税も予定されています。ウクライナ支援に対する日本のあり方についても、早急に議論を始める必要があります。

(構成/編集部・古田真梨子)

AERA 2023年2月27日号

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