熟年だって恋ぐらいしたい。でも、どうやって……迷える老羊のため、56歳バツ2の女性作家が敢行した体当たりルポ、ここに開幕。
「黒川さんはもう、選(え)り好みしちゃダメなんだから」
38歳で離婚して17年。2年前のクリスマスイブに一人、婚活居酒屋へ乗り込み、アラフィフ婚活のゴングを鳴らしたものの、男なし歴を延々と更新中。前アエラ編集長・浜田敬子さんのこの言葉を胸にこの春、婚活を再スタートした。
求めるのは、結婚相手というよりパートナー。熟年だからこそ事実婚など、いろいろな形があっていい。出会いがもはやどこかに落ちてない以上、婚活に邁進するしかない。
3月末、私は勇気を振り絞り、国内最大級と銘打つ熟年婚活・お見合いパーティーに参加した。そして5秒で帰ろうと思った。
ここは敬老会? 男性は白髪で禿げ上がり、ほぼ70代。後期高齢者が半分はいる? 女性も主流は60代。まるで、見切り品、残骸のバーゲンセールのつかみ取り。ああ私、ここに「物件」として入ってしまった……。
手のひらに人さし指を添えて「6」を作る、不潔な印象の小太りの男性。やけに童顔だ。
「俺と一緒の60だろ。同級生は西城秀樹に野口五郎。ちょっと下に山口百恵や桜田淳子も」
失礼な。私、60歳じゃ全然ないし。しかも耳元でいきなり歌を……。もしかしてそれ、城みちる? 「カラオケに行こう」と囁き、思わせぶりな視線で電話番号とメールアドレスを渡してくる。60歳初婚のこんな気持ち悪い(ごめんなさい)人に私、「イケる」と思われている。ああ、浜田さん、お願いです。私にも選り好みさせてください。