今回の共同調査(AERA2016年3月28日号)でも、保育に関する指標は郊外のほうが高めだった。激戦の「保活」を勝ち抜き、園庭のない園に預け、延長保育の終了ギリギリにお迎えに駆け込む生活ばかりが「両立」ではない。働き方の選択肢を広げたら、住むところの選択肢も広がる。

 週3、4日、2歳の子どもと一緒に自転車で「通勤」。午後3時に仕事を終え、上の子の幼稚園のお迎えへ。そんな働き方をしているのは、多摩市に住む海老澤裕加さん(36)だ。海老澤さんの職場は、京王線聖蹟桜ケ丘駅直結のショッピングセンター内にある「京王ママスクエア」。仕事スペースの横にキッズスペースがあり、スタッフに子どもを預けて働ける。多摩市はこの施設に助成金を出している。

 仕事は、大手企業から委託された電話営業。一定期間取引のない顧客に電話をかけ、営業アポを取り付ける。ママスクエアを利用すれば、仕事を得られ、託児も利用できる一石二鳥の仕組みだ。時給は業界相場よりは低めだが、就業中の託児費用は一切かからない。

「上の子が幼稚園で、下の子も保育園に入れないから仕事は無理、と諦めていました。でもここなら、子どもを見てもらえて、短時間だけ働けるのがありがたい」(海老澤さん)

 ママスクエアの藤代聡社長によれば、「働きたいのに働けていない子育て中の主婦」は全国に150万人以上。そのため「家のそばで、子どもを預けながら柔軟な働き方ができる職場」としてママスクエアを作った。求人を出すと、応募が殺到。

「待機児童数としてカウントすらされていない『そもそも働くことを諦めていた女性たち』が大勢いると実感した」

 と言う。ママスクエアは現在、埼玉県越谷市、川口市などにもあり、仕事内容は店舗により異なる。今後4年で全国100店舗への拡大を目指すという。

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