政治における女性比率の低さが特に著しい日本。民間企業に女性管理職登用の数値目標を掲げさせるが、政治こそ変わる必要がある。
埼玉県越谷市議1期目の松田典子さん(37)は、シングルマザーだった経験を生かし、ジェンダーや貧困の問題などに取り組んでいる。来年3月に第3子を出産予定で、大きなおなかを抱えて12月議会の一般質問に立つ。
「1人の女性議員がまもなく出産を迎えようとしているのに、どう対応するかという本質的な議論にすらならないんです」
同じく1期目の山田裕子さん(32)は憤る。
全国市議会議長会は2015年5月、議会規則に欠席理由として「出産」を明記することを決め、越谷市議会でも「産休」は認められた。ならば子どもの急病などの「育児」も欠席理由に追加してもらえないか、と山田さんの所属する会派が提案したが、認められなかった。この議論の過程で、「育児の代わりはいるが、議員の代わりはいない」という発言が男性市議からあったという内容を山田さんがフェイスブックに投稿したところ、この行動が問題視され、山田さんは会派の代表者会議で約3時間にわたって謝罪と投稿内容の訂正を求められたという。
「議会は少数派の意見が聞き入れられにくい構造になっている。でも、これは社会的な問題。市民に問いかけていきたい」
2人はそう話す。
世界経済フォーラムの11月の報告によると、男女格差の少なさを指数化したジェンダーギャップ指数で、日本は145カ国中101位。女性の政治参加が低調なことが順位を下げる要因になっている。