TPP違憲訴訟の原告団。TPPは日本の制度を多国籍企業の都合に合わせた仕組みに改変し、憲法の幸福追求権、知る権利、生存権、司法主権を侵害すると主張する/5月15日、東京地裁(撮影/写真部・東川哲也)
TPP違憲訴訟の原告団。TPPは日本の制度を多国籍企業の都合に合わせた仕組みに改変し、憲法の幸福追求権、知る権利、生存権、司法主権を侵害すると主張する/5月15日、東京地裁(撮影/写真部・東川哲也)
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 TPP交渉はゴール直前。だが、中身を知る人はほとんどいない。米国は連邦議員が条文案をのぞけるが、日本は国会にも知る権利はない。

 環太平洋経済連携協定(TPP)は秘密のベールに包まれている。ところが、西村康稔内閣府副大臣は5月4日、ワシントンでの記者会見で、明言した。

「今回(米国の)議員と話し、外に情報を出さないという条件で(米国政府が)テキストへのアクセスを認めていることを確認しました。来週以降、テキストへのアクセスを国会議員に認める方向で調整したい」

 テキストとは、TPPの条文案のこと。それを国会議員に限って開示するというのだ。しかし、この発言が日本に伝わると雲行きが変わる。菅義偉官房長官は「何の権限があって言っているんだ」と一蹴。7日、西村氏は「アメリカと同じようにはできない」と発言を取り下げ、帰国すると「誤解と混乱が生じた件について、おわび申し上げる」と国会で陳謝した。

 事情を知る政府関係者はこう解説する。

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