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長期バカンスを楽しむフランス人がうらやましい、働きすぎ日本人。「休むこと」に対する権利意識に、歴然とした差があるようだ。
「フランス人はバカンスのために働く」という常套句がある。夏はしっかり、1カ月程度休む人も多い。なぜそんなに休めるのか? フランスでは、年次有給休暇は年間最低5週間と国が定めている。さらに、大きな「プラスα」がある。
2000年にそれまでの週39時間労働から「週35時間労働制」が導入され、超過分は有給休暇として取得できるようになった。週4時間程度残業すれば、半日休みを取ることができる。これを繰り返せば、年間で3週間ほど有休が上乗せされる計算だ。つまり年間「2カ月」程度の有休が取れることになる。
日本の場合、有休は「勤続6年半以上であれば、年間20日付与される」というのが国の基準。
「フランスではそもそもの有休の日数が多い。加えて、フランス人はそれらを当然の権利として取得する。この二つが日本との大きな違いです」
日本の企業で働いた後、日本で起業し、オーガニックのベビー用品を扱うウェブショップ「テール・ド・シゴーニュ」を立ち上げたフィリップ・フリッチさんはこう話す。
厚生労働省の14年「就労条件総合調査」によると、日本の有休取得率は約49%。それに対しフランスは、ほぼ100%。皆が皆、休みを取るので「自分だけ申し訳ない」と後ろめたさなど感じる必要もないのだ。
とはいえ、みんなが休んでいる間、会社は回るのか。たとえば、子どもの学校休暇に合わせ、多くの親たちが3~4週間の休みを取る8月。
「はっきり言って会社は回っていないですよ」と、フリッチさん。業種によるが、生産部門などを1カ月丸々閉めるところもあるという。
「8月は業績が下がり、経済活動がスローになっても仕方がない、という考えなのです」(フリッチさん)
※AERA 2015年5月4-11日合併号より抜粋
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