9カ月で2億杯 一杯ずつドリップでセブン-イレブン セブンカフェ(撮影/高井正彦)
9カ月で2億杯 一杯ずつドリップで
セブン-イレブン セブンカフェ(撮影/高井正彦)
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アートディレクター・佐藤可士和氏を起用し、マシンやカップ、マドラーやストローに至るまで「おしゃれな」デザインを心がけた(撮影/高井正彦)
アートディレクター・佐藤可士和氏を起用し、マシンやカップ、マドラーやストローに至るまで「おしゃれな」デザインを心がけた(撮影/高井正彦)

 スターバックスやマクドナルドの存在で、日本人はにとってコーヒーはより身近なものになった。その距離を一層縮めたのが、コンビニだ。セブン-イレブンは今年1月、挽きたてのコーヒーが一杯100円から楽しめるセルフ式コーヒー「セブンカフェ」を導入した。全国に約1万6千あるセブン全店にマシンを設置した9月には、累計2億杯を突破。日本に住む約1億2千万人全員が飲んでもまだ余るほどの量を、わずか9カ月で販売した。

 セブンカフェの1日の販売数は1店あたり95杯(10月現在)。コーヒーのもつ常習性が、出勤前、ランチ、おやつ、と何度も人を呼び寄せる。月刊情報誌「日経トレンディ」が発表した「2013年ヒット商品ベスト30」では、「コンビニコーヒー」が1位に輝いた。

 コンビニにとってコーヒーは、タバコに次ぐキラーコンテンツになったようだが、実際の味を専門家はどう見ているのだろうか。東京にあるスペシャルティコーヒーの専門店「堀口珈琲」で広報を担当する小野塚裕之さんは、「100円でこの品質は大したもの。コンビニのコーヒーが盛り上がれば、中長期的に見れば我々にとってもプラス」と評価するも、こう付け加えた。

「コーヒーの味には幅がある、ということは、コンビニのコーヒーでは実感しづらいこと。素材の部分で、我々とコンビニコーヒーが肩を並べることはありえない」

 また「飛行機に乗ってでも行く価値がある」と評価されることもあるノルウェーのコーヒーバー「フグレン」東京店の小島賢治店長も、「淹れたてのコーヒーに興味を持ってもらえる意味で、コンビニコーヒーは大歓迎」としながらも、低価格による農園への影響を指摘する。

「コーヒーは育てるプロセスが大事だが、農園の人たちに渡るお金によっては、品質管理が不十分になる。結局、いいモノは高くなるのでは」

AERA 2013年12月16日号より抜粋