多摩川法律事務所で増田弁護士に報告をする石川さん。気配りができ、人に警戒心を与えないキャラクターが評価されたという(撮影/写真部・関口達朗)
多摩川法律事務所で増田弁護士に報告をする石川さん。気配りができ、人に警戒心を与えないキャラクターが評価されたという(撮影/写真部・関口達朗)
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 採用活動の面接で、学生のアルバイト経験を聞く企業は多い。自分をアピールする素材として、アルバイトも決しておろそかにはできないのである。そのため、学生がアルバイトで成長するのを助ける仕組みも出てきた。「ワークプレイスメント」という新しい働き方を提案しているのは学生情報センター(京都市)だ。登録している学生を、有給インターンとして企業に派遣する。社員と同じような仕事を任せる企業も多く、学生の成長につながっている。

 明治学院大学4年生の石川真帆さん(21)は、実は今年の2月から多摩川法律事務所(川崎市)でワークプレイスメントを経験している。社員に指導を受けながら週3回、時給1300円で事務所内の事務全般をこなしている。彼女はその仕事ぶりが認められ、この事務所からも内定をとることができた。実際に働いてみて、自分に合っていると思ったため、金融機関の内定を辞退し、この法律事務所に就職する予定だ。

 同法律事務所を運営しながら、中央大学で授業も持っている増田尚弁護士は言う。

「大学生は家庭教師など、人に教える立場の仕事をすることが多く、つい傲慢になりがち。接客業などのアルバイトをして、人に理不尽なことで怒られる経験をしたほうがいいよ、と学生にはアドバイスをしています」

 就職活動に役立つアルバイトの選び方を、ハナマルキャリア総合研究所の上田晶美代表に聞いた。まずは、自分が希望する業界に近いこと。テレビ局で働きたいと思っているならマスコミ関係のアルバイトを探すなど、業界理解が深まるアルバイトは狙い目だ。

 簡単に希望業界のアルバイトが見つからない場合は、まずコミュニケーション能力を養っておきたい。面接ではただ笑顔を作るだけでも案外難しい。接客などで多くの人と話すことに慣れるとよい。ルールがきちんとある企業は、全国どこでも一定のスキルを身につけることができる。意識の高い先輩や仲間の人脈作りにもアルバイトを役立てたい。「成長できる」と口コミで人気のアルバイトは、意識の高い仲間に出会いやすいかもしれない。ただ、案外忘れがちなのが学業優先の視点だ。深夜中心のアルバイトは生活リズムが狂い、学業がおろそかになる可能性もあるので注意したい。

AERA  2013年8月5日号