さらに、第2次安倍内閣発足以降、一貫して二人三脚で安倍首相を支えてきた菅義偉官房長官にもまったく相談していない。それどころか、萩生田文科相が27日の午後に、官邸に乗り込んで安倍首相と面談しているのだが、菅官房長官は「俺はそこに座らせてもらえなかった」と嘆いている。このところ、安倍首相と菅官房長官の間に溝が生じているようだが、そのことについては改めて記す。

 学校の一斉休校を発表したが、小学校低学年の子どもを家に一人にしておくわけにはいかず、共働きの家庭や母子家庭はどうすればよいのか。安倍首相は、そうした配慮ができていないのではないか。幼稚園や保育園、そして学童保育は続けることになっているが、こちらは感染リスクが低いのか。安倍首相がそんな捉え方をしているはずはない。一体、この先をどのように考えているのか。

 私の親しい病院長が、「安倍首相は3月2日から春休みまで休ませるとおっしゃったけれど、日本は韓国に比べて、検査数が10分の1以下と少なすぎます。検査数が増えれば、感染者数が増えます。4月になっても増え続ければ、一体いつから学校を開くことができるのか。少なからぬ医者たちが心配しています」と語った。

 そして病院長は、安倍首相も政府も国民の生命と暮らしを守ることではなく、政府の“やってる感”を示したいだけなのではないか、とも言った。国民の多くもそう感じているのではないか。

週刊朝日  2020年3月20日号

[AERA最新号はこちら]