68年ドラフトの同期生ながら4歳年上。世話のやける人だったが、不思議と嫌いにはならない。あのおおらかな性格というか、包み込んでくれるような安心感は40年以上たった今でも変わらない。

 82年。前後期制だったが、プロ14年目で初優勝を遂げた。優勝目前の6月20日の南海(現ソフトバンク)とのダブルヘッダー(大阪)第1試合。先発から外されてくさっていたおっさんが、3-4で迎えた九回、起死回生の代打逆転2ラン。第2試合も勝って首位を奪い返し、ゴールに駆け込んだ。初めてのビールかけ。素直にうれしかった。田淵さんも初優勝で、2人で喜びを分かち合ったことを覚えている。

 何十年もたった思い出を振り返ることができるのも、深い付き合いをしてきたからである。今の選手はどれだけ他の選手と家族以上の付き合いをしているだろうか。野球を辞めたときに支えてくれるのは、死力を尽くした仲間であるし、絆である。

 昨年12月のコラムで優勝旅行の参加率の低さを指摘したが、自分の身をなげうつだけの濃密な時間をチームに捧げられているか。野球はチームスポーツ。その点は今も昔も変わらない。

週刊朝日  2020年1月31日号

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