「ゴーン被告がいつ反撃に出るか注目されていましたが、日本での会見はしてきませんでした。レバノンに移り日本で裁かれるリスクがなくなれば、経営陣が別の不正に関与した情報などを公表する可能性があります。そうなると、いまの経営陣の正当性が揺らぎかねません。国際的にブランドイメージが傷つきますし、ただでさえ厳しい業績がさらに悪化することも想定されます」(全国紙記者)

 実際、役員報酬の虚偽記載事件でゴーン前会長と共謀したとして起訴された前代表取締役のグレッグ・ケリー被告は、西川前社長が不正な報酬を受け取っていたことを暴露。西川前社長は9月に辞任に追い込まれた。

 12月には内田誠氏が社長兼CEO(最高経営責任者)に就いたが、ナンバー3の副COO(最高執行責任者)だった関潤氏が急に辞任するなど、経営体制は不安定だ。いまの経営陣はゴーン被告の〝逆襲〟という、さらなる難題を抱えることになった。

 裁判を受けずに事実上“国外逃亡”したことは、多くの日本人にとっては疑問に感じられる。これに対し、フランスやレバノン、ブラジルなどゴーン被告と関係が深い国では、擁護する論調も目立つ。ゴーン被告は、これからも国際的な影響力を持つとみられ、引き渡しを求める日本政府や、発言を封じ込めたい日産側は難しい対応を迫られる。

 ネット上では大みそかの大ニュースに、「除夜の鐘が鳴る前にゴーンが来るとは」といった冗談も飛び交っている。司法や日産関係者にとっては、こんな冗談にも笑うに笑えない年越しになりそうだ。(本誌・多田敏男)

※週刊朝日オンライン限定記事

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