林:先生は一年に何回ぐらい国際的な学会にいらっしゃるんですか。

本間:3~4回ですかね。

林:ブラックホールの観測をした200人の方が集まって会議をやったりとかは?

本間:あのチームで1年か2年に1回集まります。去年は11月にオランダにみんなで集まって、そこで今回発表した結果をどうまとめるかを決めて、次は今年の12月あたりに集まろうかという話をしています。

林:ブラックホールの撮影に成功したので、次の会合はお祝いムードですか。

本間:これだけの成果があって、世界中で大きなニュースになったので、とりあえず最初の一瞬はお祝いムードですけど、次にやらなきゃいけないことがいっぱいありますので、すぐ「次は何をやるか」という議論で戦いが始まるんじゃないですか。

林:リーダーの国ってあるんですか。

本間:やっぱりアメリカが強いですね。人数も多いですし、予算も日本よりは多いですしね。かつ、英語での議論になると、こっちは英語が母国語じゃないですし、ハンディがあるので、彼らと議論して言い負かすことはなかなか難しいです。そこが国際プロジェクトで苦労するところですね。

林:すごい議論が戦わされるんですか。それともなごやかな雰囲気なんですか。

本間:よくケンカしますよ。言い合いですね。世界の200人、それぞれの国のトップの人ですし、特にアメリカ、ヨーロッパの人は自己主張が得意な上に英語が母国語。「俺はこう思う」と言うだけじゃなくて、勝手にその方向に動き出しちゃうんですね。別の人はまた別の方向に行っちゃうし、文化的な違いをすごく感じますね。

林:なるほどね。

本間:日本だったら、まず会議で集まって「こういう方向に行きましょう」と言って、ある程度の落としどころを見つけてから動き出すと思うんですが、みんなてんでんばらばらに動き出して、「あとで考えよう」みたいな。その意味でまとめるのに苦労した部分がけっこうありました。

林:日本は国からの予算って潤沢なんですか。

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