ドラァグクイーンとしてデビューし、テレビなどで活躍中のミッツ・マングローブさんの本誌連載「アイドルを性(さが)せ」。今回は、「キラキラネーム」を取り上げる。
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皆さん、『横浜流星(よこはまりゅうせい)』という俳優をご存知でしょうか。昨年ぐらいから若い女性を中心に人気急上昇中……的な若手イケメンさんです。先日大阪在住の後輩女装が髪をピンクに染めていて「急にどうしたの?」と訊いたところ、なんでも「深キョンのドラマに出ている横浜流星にハマって真似した」とのこと。若い女性はおろか、大阪在住の女装(30代)にもその人気は波及しているようで、今後どれぐらい人気者になるのか注目です。
私も彼の名前を昨年知ったのですが、正直「芸名も遂にここまで来たか」と衝撃を受けました。私とて他人様の芸名にあれこれ言う資格などまったくないレベルの変な名前でやらせて頂いています。「明日からミッツ・マングローブか横浜流星、どちらかを名乗らないといけない」と言われたら、私を含め100人中100人が『横浜流星』を選ぶのは確実です。それでもやはり『横浜流星』、なかなかド胆を抜かれる名前だと思いませんか? かつては映画やドラマで演じた役名からとって芸名にするパターンもありました。諸説ありますが、松田聖子さんや柴咲コウさんなどが有名です。きっと『横浜流星』も『花より男子』系のドラマか、夜の商売系映画の流れで付いた芸名なのだろうと勝手に決めつけていました。『流星』は今や芸名や源氏名でなくともさほど驚くものでもありませんが、問題は『横浜』です。横浜出身の私ですら生まれてこの方一度も見たことも聞いたこともない苗字なので調べてみたら、まさかの本名じゃないですか! しかも神奈川県横浜市出身だと。となれば、思い切って『流星』レベルの煌びやかな名前を付けようと思った御両親の気持ちも理解できます。『横浜太郎』や『横浜一平』や『横浜明』では、市役所にある書類の『氏名記入例』みたいですし。