カヤポ族(Kayapo) ブラジル・アマゾン川流域(Brazil)/色鮮やかなビーズのアクセサリーが特徴的な、「美しき戦士たち」と呼ばれる先住民族。儀式の際はオウムの羽根でつくられた立派な羽根飾りをまとい、おでこから頭頂部まで髪を剃りあげる。若い女の子は肝がすわっていて、淡々と剃られていた(撮影/ヨシダナギ)
カヤポ族(Kayapo) ブラジル・アマゾン川流域(Brazil)/色鮮やかなビーズのアクセサリーが特徴的な、「美しき戦士たち」と呼ばれる先住民族。儀式の際はオウムの羽根でつくられた立派な羽根飾りをまとい、おでこから頭頂部まで髪を剃りあげる。若い女の子は肝がすわっていて、淡々と剃られていた(撮影/ヨシダナギ)
ヨシダ ナギ/1986年生まれ、フォトグラファー。独学で写真を学び、アフリカをはじめとする世界中の少数民族を撮影、発表。2016年版日経ビジネス誌「次代を創る100人」に選出、17年、講談社出版文化賞写真賞を受賞。著書に写真集『SURI COLLECTION』、ヨシダナギBEST作品集『HEROES』、紀行本『ヨシダ、裸でアフリカをゆく』などがある(本人提供)
ヨシダ ナギ/1986年生まれ、フォトグラファー。独学で写真を学び、アフリカをはじめとする世界中の少数民族を撮影、発表。2016年版日経ビジネス誌「次代を創る100人」に選出、17年、講談社出版文化賞写真賞を受賞。著書に写真集『SURI COLLECTION』、ヨシダナギBEST作品集『HEROES』、紀行本『ヨシダ、裸でアフリカをゆく』などがある(本人提供)

 アフリカを中心に、世界の少数民族をカメラに収めつづける女性がいる。ヨシダナギさん。鮮やかでアーティスティックな写真と、自身も裸族を含む人々と同じ格好になったことで注目を浴びている。その思いの在り処を聞いた。

【写真特集】誇り高き少数民族 ~ヨシダナギが撮るヒーローたち~

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「今日ダメでも、明日またできるさ」

 エチオピア・アファール族の男性がそう声をかけてくれたとき、ヨシダナギさんは胸を打たれた。見ず知らずの自分と同じ気持ちで一緒に作品を作ろうとしてくれたことが、何よりうれしかった。日本人どころか外国人を見るのも初めてという彼らは、車で片道2日間かかる火山地帯まで移動して撮影させてほしいという願いに快く応じてくれただけでなく、天候に恵まれず、思うような写真が撮れずに落ち込むヨシダさんを励ましてくれたのだ。

 ヨシダさんが少数民族への憧れを抱いたのは5歳のとき。「テレビでマサイ族を見てかっこいいと思った。男の子にとっての仮面ライダーと同じ、私にとってのヒーローでした」。23歳のとき、仕事に行き詰まりを感じ、何か変われるかもしれないと、多数の少数民族が住むエチオピア行きを決断。ところが「実際に会ってみたら早く写真を撮って帰れと、とてもビジネスライク」。触れ合いを期待していたが、笑顔を見ることはできなかったという。

 この距離を縮めるには相手の心の中に入らなければと、裸族を含む少数民族と同じ格好をすることにした。そうして得られた信頼によって撮影された写真が今、人々を強く惹きつけている。

 近々、アファール族を再訪する。「写真を届けて、あなたたちはこんなに格好いいんだよって伝えることで、その文化がこの先も受け継がれていったらうれしい」とヨシダさん。これからも心の赴くままにヒーローに会いに行く。

■tribe_01
カヤポ族/ブラジル・アマゾン川流域
色鮮やかなビーズのアクセサリーが特徴的な、「美しき戦士たち」と呼ばれる先住民族。儀式の際はオウムの羽根でつくられた立派な羽根飾りをまとい、おでこから頭頂部まで髪を剃りあげる。若い女の子は肝がすわっていて、淡々と剃られていた

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