●伝説のレコーディング・スタジオ「A & R」の生みの親
フランク・シナトラ、バーブラ・ストライサンド、ボブ・ディラン、パヴァロッティ、ポール・マッカートニー、スティング、マドンナ・・・。これらのミュージシャンには、スーパー・スターというステータス以外に、もうひとつの共通項がある。それは何か? 彼らは一様に、伝説的な音楽プロデューサー、フィル・ラモーンとレコーディングを行なってきたのである。
●本書について
フィル・ラモーンは、およそ半世紀にわたり、音楽業界の中心人物としてその役割を果たしてきた。彼は数々のレコードをプロデュースし、ほとんどすべての一流アーティストとコラボレートしている。
レコード制作には、“技術”というものが必要不可欠な要素になる。そしてラモーンは、“それ”を極めつつ人生を歩んできたのである。彼が、ここに初めて、エキスパートならではの奥義を伝授する。
本書『メイキング・レコーズ:ザ・シーンズ・ビハインド・ザ・ミュージック』は文字通り、スタジオのブースからガラス越しに捉えたレコーディングの魅惑的な光景である。著者ラモーンは、自己のスタジオ「A & R」でジャズやコマーシャル・ソングをレコーディングした活気みなぎる駆け出しの時代から、やがて伝説的なプロデューサーとして名声を得るまで、実にさまざまなセッションへと読者を誘う。
フランク・シナトラの『デュエッツ』、ボブ・ディランの『ブラッド・オン・ザ・トラックス』、レイ・チャールズの『ジニアス・ラヴス・カンパニー』、ポール・サイモンの『スティル・クレイジー・アフター・オール・ディーズ・イヤーズ』という20世紀を代表するきわめて印象的な音楽が誕生したレコーディングの現場である。
『メイキング・レコーズ』は、ポピュラー・ミュージックの現代史を目の当たりにする“リングサイド席”であるばかりか、レコーディングの背後でプロデューサーやエンジニアが働かせるマジックに関する、今までにない“指南書”でもある。ラモーンは、優れた音楽を練り上げる貴重な過程を綴り、音楽史にもっとも影響を及ぼしたセッションがクリエイティヴに構築される経緯を明らかにする。
本書は、過去から現在に至る一連のレコード制作なる“芸術”にまつわる著作である。
●著者紹介
ヴァイオリンの神童と称されたフィル・ラモーンは、ジュリアード音楽院で学び、1958年に革新的な音楽スタジオ「A & R」を立ち上げる。彼はナショナル・アカデミー・オブ・レコーディング・アーツ・アンド・サイエンシズ(NARAS)とプロデューサーズ・アンド・エンジニアズ・ウィングの名誉会長、及びミュージケアズ・ファウンデーションの理事を務める。ニューヨーク州、ウェストチェスター郡在住。