北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。作家、女性のためのセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」代表
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政治家好きになればよかった…?(※写真はイメージ)
政治家好きになればよかった…?(※写真はイメージ)

 作家・北原みのり氏の週刊朝日連載「ニッポンスッポンポンNEO」。今回は、立憲民主党の「枝野幸男代表」について。

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 立憲民主党の井戸まさえさんによる「枝野幸男と語る夏の大演説会」に行ってきた。200人近い人でぎっしり埋まった会場で、誰もが真剣に枝野さんの演説に耳を傾けていた。そこに少し目立つ女性グループがいた。最前列で一眼レフカメラを構え、枝野さんを激写しているのだ。40代が中心だろうか。カメラを構える姿から記者だと思っていたが、何かが違う。服装がふんわりゆるめで、枝野さんへの視線が熱すぎる。聞けば枝野さんのおっかけ、枝野萌えする女性たちだという。

 演説会後の懇親会では彼女たちの萌えぶりが炸裂していた。枝野さんが食事する姿を10人ほどの女性が一様に一眼レフやスマホで撮りまくるのだ。毛穴まで見えそうな至近距離で斜め背後から。枝野さんも慣れているようで、カメラを見ようともせず食事を続けている。いや食べている姿を見せている、とも言える。何のサーヴィス? それは見たことのない光景だった。男を激写する女と完全被写体の男。これは政治? これはなに? ただ確かなのは、この一票は手堅い。

 好奇心が抑えられず話しかけることにした。私とほぼ同世代の女性たちが、なぜ枝野さんにはまるのか?みんなそれぞれが缶バッジや、枝野さんの顔をプリントしたケータイケースや、「まっとうな政治」と書かれたトートバッグなど、自作のえだのんグッズを持っている。いったいなぜ? いつから? 聞くと「枝野さん、もふもふ、してるんです」と、一人の女性がうっとりと話してくれた。

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