モリカケ問題をはじめ、IR実施法や働き方改革関連法の可決など波乱含みだった今期の通常国会。ジャーナリストの田原総一朗氏は、多くの問題を抱えているにもかかわらず、依然として高い安倍政権の支持率に違和感を覚える。
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7月22日に、182日間の通常国会が閉幕した。
だが、西日本豪雨災害の中で、強引に可決された統合型リゾート(IR)実施法や参議院の定数を6増させる改正公職選挙法などは、国民の多くが納得しておらず、民主主義に対する政府の姿勢を強く疑わざるを得ない。
たとえばIR実施法に対しては、安倍内閣寄りの読売新聞の世論調査でも反対が62%で、賛成は28%である。朝日新聞の調査では、反対が76%、賛成は17%でしかない。
さらに、参院の定数を6増させる改正公職選挙法についても、読売新聞の世論調査で反対が67%、賛成は20%でしかない。朝日新聞の調査では反対が56%、賛成が24%となっている。読売新聞よりも差が少ないのは、世論調査の公正さを示している、といえるのかもしれない。
そして、今国会で安倍首相が最も力を入れたはずの“働き方改革関連法”だが、野党が強く反対した“高度プロフェッショナル制度”創設について、私は途中まで誤解していた。
私は、政府は高プロの対象者として、“年収が1075万円以上で、専門性が高い金融ディーラーやコンサルタントなどを想定している”と捉えていたのだが、これは想定であって、実は、対象業務や年収といった適用要件などの具体的なことは、今後の労働政策審議会(労政審)で議論され、何と国会審議を経ずに、厚生労働省の省令で定めることになっている、というのである。
ということは、対象職種が拡大されたり、年収の要件が引き下げられたりする可能性が大きく、労政審への白紙委任のようなものだ。これでは、とても認めるわけにはいかない。
前年から続いている森友・加計学園問題では、ウソをつくことがまるで常識のようになってしまっている。