

「あなたの運勢は上昇します」。占いでこんな結果が出るとうれしいですね。ちまたには人々の心に働きかける「幸せビジネス」があふれています。占いや霊視、スピリチュアルカウンセリングや開運セミナーまでさまざま。信じる人が元気になる分にはいいのですが、ハマりすぎには要注意です。
【あなたの「幸せビジネス」依存度は?チェックポイントはこちら】
「あなたが結婚できないのは、額に『独身サイコー!』と言っているお坊さんがいるから」
ライターのさくら真理子さん(37)は、占師にこんなことを言われたことがある。
「その人に額から追い出してと頼んだら、『追い出すのは別料金になります』と言われました。ずっこけましたよ。いったいいくらかかるんだと」
それでも占いをやめることはなかった。別の占師に勧められるまま、男性をデートに誘ったが、断られたこともある。「テレビを見るな」と言われたときは、6年間も見ないようにした。
料金は1回あたり数千円から、高いものだと1時間8万円のものもあった。
3日間で30万円というセミナーにも参加した。
「登壇者が手をかざすと、200人ほどいた参加者の2、3割がバタバタと倒れました。今思えば、あれは『さくら』だったのかも」
これまで占いにつぎ込んだお金は1千万円にもなる。たとえ当たらなくても、もっとすごい占師がいるのかもしれないと探し続けた。
どうしてそこまでハマるのか。友人でも家族でもない他人の目線で、自分をもっと知りたかったと、さくらさんは言う。
「探究心ですよ。占いに行くのは」
「自分なんて才能ない」と感じているときに、「努力はいつか報われます」などと言われると、その言葉が力になったと振り返る。
今も占いは続けている。占い体験を『気になるスピリチュアルカウンセラー 全部かかってみました!』(すばる舎)という本にまとめた。
「占いにハマったおかげで本が出せたから、自分的には結果オーライです(笑)」
1千万円もの金額は特異事例かもしれないが、幸せビジネスにのめり込む人は珍しくない。