「FUNNY GOLD」は、1970年代のAORテイストがうかがえる官能的なラヴ・ソング。“火が点いた今夜”と歌われ、情交の後の光景を思わせる歌詞が続く。

「ONE DAY IN AVENUE」は、ピアノのリフ、ベースの繰り返しが特徴的で、後半にはシンフォニック・ロック的展開に。“まだやるのかい? モンキービジネス”“肝心な内容無いもの 売り捨てる世の中”“知りたいのは 不倫?不幸?”といった歌詞からはメディア批判がくみ取れる。

 アルバムを締めくくる「ENDROLL」はスローなソウル・ジャズ風のインスト主体の曲で、ハミングをフィーチャーしている。メンバーを紹介する歌詞が記されているが、実際にはノイジーなボイス処理による。

 サチモスが本作で示したのは、ポップで親しみやすい曲だけでなく、音楽的な幅を広げながら独自のスタイルを追究する姿勢だ。“男気あふれるバンド”という印象も強くなった。ソウル・ロック、ソウル・ジャズなどを基盤にし、ギター演奏に顕著なロック的展開も見せるライヴも見逃せない。(音楽評論家・小倉エージ)

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