女性社員は被害を上司に報告したにもかかわらず、「報道は難しい」と拒否され、やむをえず、週刊新潮に情報提供をしたらしい。テレ朝の篠塚浩取締役報道局長は「財務省に対して正式に抗議する」と言いつつ、「社員からセクハラ情報があったにもかかわらず、適切な対応ができなかったことに関しては深く反省しております」と述べたが、福田次官のセクハラは結果的に週刊新潮のスクープとなったにも関わらず、雑誌メディアを会見から締め出すという対応は納得がいかなかった。

 テレビ朝日広報部に質問状を送り、なぜ記者クラブ以外のメディアを阻害したのかを尋ねたところ、以下の回答だけがあった。

「記者会見には当社の方から、日頃から当社の定例会見にご出席いただいているラジオ・テレビ記者会と、財務省の記者クラブである財政研究会の所属社にご案内をさせていただいたものです」

 会見の参加者を「日頃から定例会見にご出席いただいている」記者に限定した理由は何か。雑誌やネットなどの記者に来てほしくない理由があったのか。

 ピューリッツァー賞の発表が4月16日にあり、米国でハリウッドの大物プロデューサーのセクハラを追求したニューヨーク・タイムズと雑誌「ニューヨーカー」が受賞した。

 受賞の理由はセクハラや性被害を告発する世界的な現象「#MeToo(私も)」の合い言葉のきっかけとなる報道をしたこと。

 はたして、テレ朝のセクハラ被害への対応や“閉鎖的な”記者会見は「#MeToo」時代にふさわしいものだったのか。(本誌・上田耕司)

※週刊朝日オンライン限定記事

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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