
元横綱・日馬富士関が十両・貴ノ岩に暴力を振るった事件に端を発した「貴乃花の乱」が、大きな局面を迎えた。
日本相撲協会は29日、定例理事会を開催し、春場所中に暴行事件を起こした十両・貴公俊と師匠の貴乃花親方への処分を話し合い、貴公俊は1場所の出場停止、貴乃花親方は2階級降格処分で役職最下位の「年寄」になることが決定した。
前日の28日には、貴乃花親方は大阪で開かれた臨時年寄総会に出席。これまで続けてきた日本相撲協会への批判について反省の弁を述べ、謝罪していた。
臨時年寄総会に出席した反貴乃花派の親方の一人は、こう話す。
「部屋に入るとピリピリとした緊張感で、『いったい何が起きるのか』と思った。部屋には椅子がなく、床にすわる車座のような形で始まった。親方たちはヒソヒソと『貴乃花親方はどうなるのか』『謝るのか』と小声で話す声も聞こえ、不穏な空気だった」
議題の中心となったは、やはり貴乃花親方だった。ある親方が口火を切って、貴乃花親方の一連の行動に怒りをぶつけた。
「(貴乃花親方は)勝手にテレビに出る。違反ばかりやっている。春場所にも出てこない。こんなこと許されない」
これに呼応するように、「契約違反だ」「もう解雇だ」「それほど協会が嫌なら、自ら去ればいい」との意見が相次いだという。
もちろん、批判は貴公俊の暴行事件にも及んだ。
「日馬富士をあれだけ批判しておいて、自分の弟子が暴行しているじゃないか。どんな指導しているんだ」
「弟子が暴行している時に、春場所に不在で、どう思っているんだ」
批判の嵐と殺伐とした雰囲気に、貴乃花一門の親方もうつむいて、口を挟むこともできなかったという。貴乃花親方は、ただ頭を下げて「申し訳ありません」と謝罪するばかりだった。
「最後には理事を務める親方が、『まあ、こうやって謝罪しているから』と引き取った。それでも納得のいかない反貴乃花派の親方衆は『よく年寄総会に顔を見せられたもんだ』『これでクビにならなきゃ、協会の規定はおかしい』『日馬富士は、責任とって引退した。それと同じだろう』と、終了後も怒りをぶちまけていました」(前出の反貴乃花派の親方)