図面には、最上階の7階にワインセラーやビールディスペンサーなどが設置されることになっていた。
23日に都内で開かれた民進党の加計学園疑惑調査チームの会合でもこの点が指摘され、出席した議員から「今治市の市民の税金を使って、ワインセラーを置こうなんて、こんな大学があるのか」と批判の声も上がった。
指摘を受けた加計学園は、24日に「ワインセラー等の設備は現在の計画には入っておりません」とのコメントを発表した。前出の加計学園関係者はこう話す。
「獣医学部は実験で犠牲になった動物の死骸などがたくさん出る。そんなところにパーティー会場をつくることについては、疑問に感じている人もいました。加計(孝太郎)理事長はお酒好きで、お客を呼ぶのが好きなのはみんな知っている。『入学式に安倍首相が来て、パーティー会場で乾杯でもするのかな』なんて話もされていました」
ただ、設計図を見た人たちがパーティー施設以上に驚いたのは、別の部分だ。「設計図の流出で、鳥インフルエンザ対策などの高度な研究に対応できないのではないかと疑問符がついてしまった。専門家に獣医学部棟の設計を検証されると厳しい」(前出の加計学園関係者)
国家戦略特区で獣医学部の新設を認める前に、安倍政権は15年6月の閣議決定で、生命科学など新分野で人材ニーズがある、すでにある獣医学部などでは対応が困難など、四つの条件を満たした大学にのみ新設を認めることにした。
今治市による国家戦略特区の提案書にも<越境感染症や人獣共通感染症、国際的食の安全、バイオテロ等への危機管理と国際対応の資質を持った人材を育成>と書かれている。加計学園の獣医学部は、日本でもトップクラスの獣医学研究施設になることが求められていたのだ。
そのため、新設される獣医学部の研究施設には、危険な病原菌などを取り扱う必要があり、危険度に応じて設定されたバイオセーフティーレベル(BSL)に対応して運営される必要があった。加計学園は、危険度が上から2番目に高く、鳥インフルエンザウイルスなども扱うことのできる「BSL3」の研究施設を設置することで、国家戦略特区のハードルをクリアできるとしていた。
ところが、その安全対策はおざなりにされていた。元国立感染症研究所主任研究官の新井秀雄氏は言う。