「ただ現状では、憲法裁判所は保守系の裁判官で固められていて、棄却される可能性もあるといわれている。しかし、罪も明らかで世論の怒りもすさまじく簡単に棄却できるかどうか……」(同)
その世論は完全にそっぽを向き、大統領支持率は史上最低の4%を記録した。ウォーターゲート事件のニクソン大統領を赦免したフォードに倣って退陣後も罪は問わないとする「大統領赦免」の提案(中央日報21日)も出たが、「ここまでうそにうそを重ねた朴大統領を国民は絶対に許さない」(別の記者)という見方が大勢だ。また、「もう朴槿恵は過去だ」(朝鮮日報21日)とし、事態をどのように収拾すべきか、「ポスト朴」を考える時だという見解も出始めている。
日本にとっても朴大統領の進退は悩ましい。弾劾可決となれば大統領は職務停止となり、12月の日中韓首脳会談には代理が出席することになるかもしれない。
「プーチンに裏切られた安倍首相にとって、朴大統領が参加しても対応に困り、代理では格下だと中国が会談を拒否する可能性もある。どちらも頭が痛い問題です」(日本の外交専門家)
事実は韓国ドラマよりも奇なり。朴大統領の去就はどうなるか、そしてこの事態を国としてどう乗り越えるのか、韓国はいま、大きな試練を迎えている。
※週刊朝日 2016年12月9日号