皇室制度について、さまざまな角度から検証を始めた陛下について、先の岩井氏は同じ記事中で、「皇室の制度と歴史的真実、現代と皇室の伝統について科学者らしい手堅い思索を重ねてきた様子がうかがえる」と記した。
ところで、毎日新聞は、皇室ウォッチャーが気になる記事を掲載した。天皇陛下の意向を受け、今年5月以降、宮内庁幹部が水面下で検討を進めていたというのだ。風岡長官、山本次長らオモテの宮内庁トップ2と、陛下を私的に支える河相周夫侍従長らオクのトップ2人。そこに皇室制度や歴史に詳しい元職員1人が加わった「4+1」で会合を持ち、皇室制度の重要事項について検討と会合を重ねて、首相官邸とも調整を重ねてきたという内容だ。
「このOB職員は、宮内庁の指示で20年以上前から王室制度の調査のために欧州へ赴くなど、研究を重ねてきた専門家です。小泉内閣が進めた女性・女系天皇に関する皇室典範改正問題のときも関わり、今年春に定年退職しましたが、まだ宮内庁に残り、研究を続けています」(宮内庁関係者)
この6月の人事異動で、首相官邸では警察庁出身の杉田和博官房副長官を軸に、各省庁からエース級の人材を集めた極秘検討チームを作っている。その目的が、長年の懸案である皇族の減少に伴う、女性宮家の創設に関する皇室典範改正なのか、「生前退位」や「摂政制度」に関するものなのかは、はっきりしない。
※週刊朝日 2016年7月29日号より抜粋