さすがに38歳になった今ではそんなこと思いませんが、10代後半から20代前半までは確実にそんな感じでした。
義理チョコだとわかって受け取っても、実はラブレターがチョコの中に埋め込んであるんじゃないかと、淡い期待を込めておっかなびっくり食べてました。
食べ終わったあとも包装に巧妙に仕込んであるんじゃないかと、蓋の内側の紙を剥がしてみたりしました。
敏感男子はたとえ「義理だよ!」と言われても、「いやいや、またぁ照れちゃって」というズーズーしさをもったヘンテコな生き物なのです。
そういえば………今、思い出しました。中学生の時に通ってた学習塾で、その計略を使って抜け駆けして付き合い始めたカップルがいたのです。
クラスの男子全員がNさんから同じ義理チョコをもらったはずなのに、翌日から一人だけ帰り道を変えてNさんと帰宅するようになった裏切り者が!
みんなでそいつを問いつめたら、一人だけパッケージの中にうまくラブレターが忍び込ませてあったといいます。
それを聞いたAくんが、
「惜しいなー! ひょっとしたら俺がNさんと付き合えたかもしれなかったのにー!」
と言いだし、
「くじ引きじゃないからっ!」
と総ツッコミ。でもツッコミつつも、その場にいた男子全員が「いやいや、俺にも多少のチャンスがあったはず……」と思っていたのではないでしょうか。
どんな小さな「義理」でも敏感男子を惑わす可能性はあるのです。女子の皆さん、覚えておいてちょーだい。
そんな自分が敏感だった頃のバレンタインが懐かしいです。
※週刊朝日 2016年2月19日号