長崎のテーマパーク「ハウステンボス」が今、国内外で注目を集めている。開業以来18年も赤字が続いたが、5年前にエイチ・アイ・エス会長の澤田秀雄氏(64)が社長に就任し、一転してV字回復。澤田氏にその戦略について語ってもらった。
* * *
――2014年9月期の入場者数は前期より13%増の279万人。同期の決算を見ると、売上高は前期比21.4%増の262億円、営業利益は同51.9%増の73億円で、4年連続の増加です。冬でも客足が途絶えなかったのは、どんな仕掛けがあったのですか。
「冬は寒くて来場者が減るので、テーマパークでは営業時間を短縮するのが一般的なのですが、私たちはその逆を張り、夜は22時まで営業時間を延ばし、日没からイルミネーションを楽しめるようにしました。それが、世界最大級の1100万個以上の電球で園内を飾る『光の王国』です。キャラクターのパレードだけでなく、運河や橋までライトアップさせ、一面が光の海になります。また、音楽とともにコンピューターグラフィックス(CG)映像を立体化させた『3Dプロジェクションマッピング』を4カ所で楽しめるようにしました。同時多発的にイベントを行うことで、閉園時間まで、存分に遊べるようになりました」
――一日では回りきれないほど無料で参加できるイベントがたくさんあります。
「私が社長に就任したときは、何のイベントもなく、園内は音も光も花もない、夜になると暗くて寂しかった。今では、一晩では回りきれないほどのイベントがありますので、『今日見られなかった分は、また明日見よう』と、来場したら宿泊する流れになり、お客様が増えていったのです」