季節の変わり目や天候が悪いときに、体調が悪くなったと感じたことはないだろうか。とはいっても、我慢できないほどのものではない。熱っぽくはなく、風邪の症状とはちょっと違う。どうやら気圧の変化が関係しているようだ……。
低気圧になると現れる風邪のような症状やリウマチなどの症状の悪化も、自律神経の働きの低下や乱れで、血流が悪くなることによる。鼻水が出るのは、自律神経のバランスの乱れでヒスタミンという物質が過剰に分泌されるからだ。
「鼻水は出るものの、低気圧が原因の不調では、発熱やせき、のどの痛みなどは出ないでしょう。また“天気が悪いと古傷が痛む”と、よく言いますよね。気圧が下がると副交感神経の働きが悪くなり、交感神経が優位になります。すると血管が縮み、古傷周辺の痛みを感じる神経が刺激されるために、そのようなことが起こるのです」(自律神経に詳しい順天堂大学教授の小林弘幸医師)
雨の日には注意が必要だという。8月、9月は台風シーズン本番で、日本列島は低気圧に覆われることが多い。もし不調を感じたら、どうすればいいのか。
「副交感神経の働きを活発にすることです。副交感神経が働くのは主に夜です。人が眠っている時間が最も活発に働くので、夜には、とにかく十分な睡眠をとってください」
と小林医師はアドバイスする。手っ取り早く血流をよくする効果がある入浴と運動もよいという。
「夜の過ごし方とは変わって、昼間はだるいからといってゴロゴロ寝てばかりではいけません。余計に血流が悪くなってしまいます。体調が多少悪くても動いてください。呼吸が深まるウオーキングなどがいいですね。入浴するときは、40~41度のお湯にいったん首まで浸かってからだを温めてから、10分間半身浴をすると翌日には元気になるでしょう」(同)
あまりにだるくて動くのがつらい、運動をする気にもなれないというときは、登山用の酸素ボンベなどで酸素を吸入するのもよいそう。しかしこれは一時しのぎでしかない。
「副交感神経の働きは加齢によっても衰えてしまいます。腹八分目の食事、朝食は必ず食べる、疲労やストレスをためないなど、生活習慣を見直して、副交感神経がいつも活発に働く状態を維持するように心がけることが気圧の変化に対処する何よりの対策です」(同)
“ぐずついた体調”が、全国各地に広がらないことを祈るばかりだ。
※週刊朝日 2014年9月26日号より抜粋